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2010年12月 7日 (火)

『行きずりの街』の古めかしさ

阪本順治監督の新作『行きずりの街』を丸の内東映で見た。上映が始まってまだ2週間なのに、日曜の午後4時の回で、観客は20人くらいか。その寒々とした館内の光景と、映画の中味が妙に呼応していて興味深かった。

物語は過去に教え子と関係を持って高校を追われた塾講師が、家出した現在の教え子を追って12年ぶりに東京に現れると言うものだ。男はそこでかつての女に会い、また自分を追い出した高校の悪者たちと戦う。

何とも古めかしいハード・ボイルドだ。過去を引きずる男の、女との再会と復讐劇。物語もセリフもわざとらしく、見ていて息苦しくなる。昔はこんな内容の映画やテレビ番組をたくさん見たなあ、という既視感が何度も訪れた。
主演は仲村トオルと小西真奈美で、その演技がまた昔風に重たい。脇役の窪塚洋介がインテリやくざを演じて妙にリアルで目立った。

阪本監督の演出は悪くない。特に追跡シーンや、仲村と小西が抱き合う場面の長回しは見ごたえがある。けれど最初から最後までどうしても物語に入りこめなかった。
これは阪本監督というよりも、原作や脚本と制作プロのセントラル・アーツのカラーかもしれない。

古くなった東映の直営館で、観客もまばら。そんな中でこうしたいかにも東映らしい時代遅れのハードボイルドを見るのは、実は快かった。まるで1970年代か80年代前半に戻った感じというか。
丸の内東映ももうすぐ全面改築らしい。どんな建物になるのだろうか。屋上の東映神社は残るのだろうか。

ところで阪本監督は当たる映画をほとんど作っていない。これだけ力のある監督なのになぜだろうか。現在の映画製作システムと、どこか合わないところがあるのだろうか。

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