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2010年12月11日 (土)

東京フィルメックス:その(5)邦画のリアル

東京フィルメックスが終わって2週間にもなって恐縮だが、見た日本映画が気になったので書いておきたい。110万円で作ったというグランプリの『ふゆの獣』は見ていなくて、見たのは特別招待の『鼻』と『後の日』の中編2本立てコンペの『PEACE』。それらを見ながら邦画のリアルについて考えた。

招待の2作品はNHKの製作で「怪しき文豪怪談」というシリーズだ。『鼻』は『フラガール』や『悪人』で今をときめく李相日監督の新作だが、今回はトーンが違う。巨大な鼻を持つ僧の話だが、その鼻が本当にグロテスクで何度も映るたびに目をそむけたくなる。そのうえ、視点がその僧の側にあって、彼から見た村人の反応が描かれる。とても成功したとは言い難いが、文芸作品をあえて現代風のリアルにした不気味な魅力を感じた。

『後の日』は、これまた『歩いても歩いても』や『空気人形』などで人気の是枝裕和監督の新作。いかにもといった日本家屋で展開する子供をなくした若夫婦の物語は美しいのだが、美しいだけで終ってしまう。室生犀星の原作をまさに文学的に映像化した手腕は見事だが、正直あまりおもしろくなかった。

『PEACE』は、「観察映画」と称する『選挙』や『精神』で評価を得てきた想田和弘監督の新作だ。例によってカメラを持って、おかしな人々のまわりをついて回る。何の工夫もないと言えばないのだが、高齢者や身障者と彼らのケアに係わる夫婦の毎日を見ているうちに、おもしろくなってくる。出てくる人々がカメラを持つ想田に話しかけたりもするし、極めて日常的だが、そこになぜか映画の力が生まれている。
誰もができそうで、実はできない、ドキュメンタリーの典型だろう。

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