『アンストッパブル』に手を握り締める
最近、シリアスな映画ばかり見過ぎたので、正月明けにスカッとしたこれぞハリウッド映画というのを見たいと思った。朝日新聞で山根貞男氏が「走る列車を止める。ただそれだけの話なのにおもしろい」と書き始め、「見終わって、これが映画だと理屈抜きに思う」と締めていたので選んだ。
結果は大当たり。何よりも機関車の音響がすごい。その爆音の中を暴走する機関車、それを別の機関車で追う二人の動きを中心に、鉄道の指令室、鉄道本社、マスコミ、住民、そして二人の家族などの映像が、恐ろしいスピードで編集されている。見ていて久しぶりに手を握り締めて興奮してしまった。
列車から見える周りの風景がどこか赤茶けていて、鉄道をめぐる物語にぴったりのさびついた色合いなのもよかった。
子供の頃見たアメリカ映画というのは、『ジョーズ』とか『エクソシスト』とか『タワーリング・インフェルノ』とか、とにかく手に汗を握る映画が多かった気がするが、最近はまじめなアメリカ映画が増えた気がする。あるいは自分がそういう映画を選んでいるのか。
二人の主人公の家族の悩みもお定まりで出てくるが、最近のアメリカ映画と違ってそれが前面に出過ぎていないのがいい。正月休みのボケた気分を吹っ飛ばすのには、最高の映画かもしれない。公開二日目の日曜日ということもあって、映画館はほぼ満員だった。
それにしても鉄道とか機関士というのは、映画のネタに多い。もちろんリュミエール兄弟の『列車の到着』に始まって、アベル・ガンスの『鉄路の白薔薇』とかルノワールの『牝犬』とか。黒澤の脚本をもとにしたコンチャロフスキーの『暴走機関車』は見ていないので、今度DVDを借りようと思う。同じ暴走機関車を扱っているが、どう違うのだろうか。
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