タイポグラフィーと磁器を美術館で見ること
最近おもしろくない現代美術展を立て続けに見た反動か、デザインとか工芸の展覧会を見たいと思った。役に立つアートというわけだ。選んだのが東京都庭園美術館の「20世紀のポスター [タイポラフィー]」展とサントリー美術館の「マイセン磁器の300年」展。
「20世紀のポスター展」は、紙問屋で有名な竹尾のコレクションから、タイポグラフィーをテーマに選んだもの。タイポグラフィーとは、文字のデザインと言えばいいのか、いわゆる文字面(づら)だ。情報を与える文字がどんどんデザイン化された歴史をたどっている。
特に20世紀初頭のポスターは見ごたえがある。リシツキーの赤と黒の展覧会告知のポスターなど、「実験しました!」という感じの文字が躍っている。紙が古びている感じもいい。1950年代まではそうした素朴な前衛精神が感じられるが、その後となると何でもありで興味がそがれる。日本も含めた世界中のポスターなので、各地の動きの流れも伝わってこない。もっと時代か地域を絞って欲しかった。
日本のデザイナーは、亀倉雄策や田中一光から井上嗣也まで各一点のみ。竹尾のような紙問屋のコレクションだから、何より業界内のバランスを考えた感じか。外国のデザインやタイポグラフィーに憧れてマネをしながら作った跡はうかがえるが、外国のポスターがIBMやオリヴェッティなどの大クライアントの注文仕事なのに、日本のデザイナーは自主制作や業界団体のためのポスターが多い。外国に負けないように、無理をして背伸びして作ったポスターのように思えてしまった。3月6日まで。
「マイセン磁器の300年」展は、逆に中国や日本の磁器に憧れて18世紀初頭からドイツで始まったマイセンの歴史だ。絵柄を見ても、いかに東洋に憧れていたかがよくわかる。しかし並んでいる磁器の多くは形もデザインも大ぶりで、日本の感覚からは気持ち悪いくらいだ。
焼き物の展覧会はどうしても触りたくなるから、こうして展示ケースに入れられた展覧会に行くたびに欲求不満がたまってしまう。こちらも3月6日まで。
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