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2011年1月25日 (火)

日本映画に久々の新風

久しぶりに日本映画に新風が巻き起こったような気がした。4月1日公開の前田弘二監督、吉高由里子主演『婚前特急』のことだ。最近は、劇場用長編第一作などは普通試写には行かないが、これは妙に気にかかった。題名がルビッチの『極楽特急』を始めとした数本を思わせたこともある。

新人にしては吉高を始めとして加瀬亮などメジャーな俳優が揃っている。製作からビターズ・エンドとショウゲートなどが係わっている。これは「ナニカアル」と思った。

勘は大当たり。初めて相米慎二や松岡錠司を見た時のような、「映画が走っている」感じがある。最近だと(といってもずいぶん前だが)李相日が登場した時といったらいいか。

出だしの中目黒の列車の映像に参った。電車の前でキスをする二人が妙に映画になっている。話は吉高演じる24歳のOLが、年下から50代までの5人の彼氏を手玉に取るというものだが、三木聡みたいなゆるいアナーキーなコメディーかと思って見続けると、時々とんでもないシーンが出てくる。

吉高がパン屋のダメ男田無(浜野謙太)と並んで、それぞれバイクと自転車を引きながら歩くシーンの抒情性。男の一人が別の女に野原でアフリカの楽器、カリンバを弾くシーンの異様な盛り上がり。あるいは4人で集まって吉高以外が万葉集の言葉を競って話すシーンの荒唐無稽さ。そして極めつけは、朝から喧嘩をする吉高と浜野が壁を突き破って隣の家が見えてしまう瞬間。

独特のテンポと丁寧な撮影と音響で、見ていてだんだん気持ちよくなってしまう。最後の列車のシーンには快哉を叫んでしまった。
試写はガラガラだったが、これは見逃すと大変なことになる映画だ。

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