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2011年1月16日 (日)

「トランスフォーメーション」展はつまらない

東京都現代美術館で1月30日まで開催されている「トランスフォーメーション」展を見るために、寒い中を木場まで行った。予想はしていたのが、本当につまらない展覧会だった。この美術館の学芸課長である長谷川祐子氏と多摩美大の中沢新一氏の共同企画らしいが(展覧会の入口にまでデカデカと書かれている)、とにかく見ておもしろい作品がない。

そもそもこの長谷川氏は、水戸芸術館にいた頃から抽象的なコンセプトでグループ展をやることで有名だが、現美に来てからの「SPACE FOR YOUR FUTURE」展も、今回と同じように見るべき作品がほとんどなかった。今回の展覧会名は日本語より大きく英語でTransformationと書かれていて、副題に「東京アートミーティング」とある。まずそれだけで胡散臭い。そして「生きることは変わること。」というキャッチがチラシにも会場入り口にも書かれている。美術館で「生きることとは」を教えてもらいたいと思ってはいないのだが。

マシュー・バーニーとかクレメンテ、ヤン・ファーブルなどの有名な作家も出品しているが、そもそも私が苦手な作家ばかりだ。あとは退屈な映像作品がこれでもかと続く。
自分のように映画をスクリーンで年間200本前後見る人間にとっては、もともと現代美術の映像作品は苦手だ。いつ始まったかもわからないものを途中から見始めるとは、どういう神経だろうか。もちろんウィリアム・ケントリッジや束芋などの作品は数分見ただけで非凡さがわかるが、大半は思わせぶりの頭でっかちな映像ばかり。アビチャッポンの映像も、あの展示では良さはわからないだろう。

たぶんこの学芸員が見せようとしているものと私が美術に求めるのは、根本的に異なるのだと思う。自分も週に一度は美術展を見るし、現代美術にしても例えばベネチア・ビエンナーレは四半世紀前から通っている。長谷川氏はイスタンブール・ビエンナーレのコミッショナーをしたり、世界的にも活躍しているようなので、その展示を支持する人々も美術界には多いのかもしれない。けれど私の感性とは決定的に異なるようだ。

同時開催の「オランダのアート&デザイン 新・言語」展もおもしろくない。
そこで常設展に足を延ばすと、同じ映像でもピピロッティ・リストはおもしろかった。それから3階の「クロニクル1947-1963 アンデパンダンの時代」もずっしりと見ごたえがあった。この美術館はさすがにいいものを持っている。木場まで来た価値があった。

これまでこの美術館で見たものでは、河原温展や中西夏之展、草間弥生展などが強く印象に残っている。個人的にはコンセプトによるテーマ展よりも、日本人の個展をもっとやって欲しい。最近では現代美術でも国立新美術館の方が野村仁展などおもしろいものが多い気がする。

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