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2011年2月

2011年2月28日 (月)

『ブラック・スワン』の不思議な魅力

本日発表されるアカデミー賞の5部門にノミネートされ、5月13日に公開される『ブラック・スワン』は何とも不思議な魅力に満ちた映画だ。監督のダーレン・アロノフスキーは、前作の『レスラー』でも身体的に何とも痛々しい場面を登場させたが、今回はその比ではない。痛々しさがほとんどホラーの域に達している。

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2011年2月27日 (日)

「内向き」の日本人と言うが

ニュージーランドの地震で驚いたのは、こんなにも彼の地に日本人学生がいたことだ。最近は海外に留学する日本人学生が減ったという報道が多く、「内向き」の日本人という言い方が流行っているが、本当かなと思った。そこでその報道の基となった文部科学省のデータを見たら、びっくりする事実がでてきた。

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2011年2月26日 (土)

久しぶりに見た前衛的な映画

かつては、何だかわからないけれどおもしろい、という映画がたくさんあった。1960年代から70年代にかけての中南米や東欧の映画は、まさにそうだった。意味深げなシンボルがあちこちに散りばめられているが、具体的にはわからない、でもおもしろいというものだ。4月2日に公開されるペルー映画『悲しみのミルク』は、久々のそんな映画だ。

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2011年2月25日 (金)

抱一の銀屏風にふるえる

朝日新聞夕刊で、酒井抱一の銀屏風の作品が出光美術館で展示中という記事を読んだら急に現物を見たくなり、翌朝に有楽町の出光美術館に行った。とりわけ銀屏風に描かれた大作《紅白梅図屏風》を久しぶりに見て、ふるえてしまった。

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2011年2月24日 (木)

『ザ・ファイター』を『あしたのジョー』と比べると

アカデミー賞6部門7人ノミネートという、『ザ・ファイター』を見た。「どん底からしか見えない、頂点がある」などとチラシに書かれているので、『あしたのジョー』のようなものかと思ったが、全く違った。あらゆるシーンや登場人物が細かく計算されたこの映画に比べたら、『あしたのジョー』はほとんど抽象劇に見える。

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2011年2月23日 (水)

原節子ふたたび

『新潮45』の最新号には、15歳の原節子の出ている内田吐夢監督の映画『生命の冠』のDVDが付いていると朝日新聞で読んで、慌てて買いに行った。ようやく見たが、状態も悪く、それ以上に作品としておもしろくなかった。しかし雑誌に寄せられた、何本かの原節子を讃える文章が読みごたえがある。

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2011年2月22日 (火)

絶望的な「恵比寿映像祭」

毎年、この季節になると、恵比寿の写真美術館で「恵比寿映像祭」なるイベントが開かれる。今年で3回目だが、これが毎回絶望的なほどにつまらない。2階、3階、地下の展示室全館にホールを使ったものだが、今年も見ておもしろいものはあまりなかった。

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2011年2月21日 (月)

やっぱりおもしろいイーストウッド

イーストウッドの新作『ヒアアフター』は死後の話で、ちょっと変だという噂は聞いていた。『AERA』でも藤原帰一氏が「今回は一回休み」と書いていたと思う。で、公開二日目に見に行ったが、やっぱりおもしろかった。

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2011年2月20日 (日)

『ピストルズ』は壮大な法螺話

去年の秋に買っていた阿部和重の『ピストルズ』をようやく読んだ。帯に作家たちの絶賛のコメントが並んでいるし、谷崎潤一郎賞だしと思って買ったが、700ページ近い厚さに怯んでいた。あるいはそれ以上に阿部和重特有の読みづらさを思い出して、気が進まなかったのかもしれない。ようやく読んだが、相変わらず作家の妄想がうずまく、壮大な法螺話だった。

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2011年2月19日 (土)

見ていて楽しいゲンズブールの映画

5月に公開される映画『ゲンズブールと女たち』を見た。先日ここで書いた『イヴ・サンローラン』のようなドキュメンタリーと違って、俳優が演じているものだ。映画としてのできはそこそこだが、見ていて実に楽しかった。

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2011年2月18日 (金)

「秘めたる恋」のおもしろさ

今回の芥川賞は受賞者二人の取り合わせがおもしろくて『文藝春秋』を買ったが、小説を読む前に「秘めたる恋」という特集にはまってしまった。田中角栄や小津安二郎、向田邦子など35人の知られざる(あるいは今や忘れられた)恋がうちわけ話風に書かれていて、そのいくつかに驚いたり、感心したりした。

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2011年2月17日 (木)

『木漏れ日の家で』の心地よい古さ

ちょっと古めかしい秀作を見た。4月16日に公開される白黒の2007年ポーランド映画、『木漏れ日の家で』。それこそ同じポーランドのワイダの昔の作品、例えば『灰とダイヤモンド』や、亡くなったキェシロフスキーの「デカローグ」シリーズを思わせるような、凝りに凝った映像が今どき珍しい。

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2011年2月16日 (水)

イランのジャファール・パナヒ監督をめぐって

昨日エジプトの民主化運動のことを書いたが、その動きはイランにも波及しているらしい。そういえば、少し前の朝日新聞では、ベルリン国際映画祭が開幕し、審査員に選ばれたイランのジャファール・パナヒ監督が入獄中で出席できなかったことが書かれていた。パナヒは『白い風船』や『チャドに生きる』(ベネチア国際映画祭金獅子賞)『オフサイド・ガールズ』など、日本でも何本も公開された監督だ。

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2011年2月15日 (火)

エジプトが強権政治だったとは

恥ずかしいことに、今回のエジプトの一連の動きが伝えられるまで、エジプトが30年も一人の大統領が支配していた国だとは知らなかった。自分は外国に年に何度も行っていたはずなのに、こんなことも知らなかったのかとショックを受けた。エジプトは中東のなかで最も穏健派で、イスラエルとも冷静に話ができるまともな国だと考えていたのだから。

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2011年2月14日 (月)

『あしたのジョー』は期待ほどでは

妙に期待して、『あしたのジョー』を見に行った。1970年前後に漫画もテレビアニメもかなり触れていたから、実写でどうできあがるか、気になっていた。「サンドバックにぃー」という主題歌も歌える。読売新聞で土屋好生氏が絶賛していたこともある。満員のバルト9で見たが、正直に言うと期待ほどではなかった。

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2011年2月13日 (日)

「餃子スタジアム」に行く

餃子が好きだ。2002年に池袋にできた「餃子スタジアム」には長らく行きたいと思っていたが、できた頃は混んでいる様子がテレビで映っていたので、行かないままになっていた。最近は職場が池袋に近くなったし、行きたいという同世代の友人がいたので初めて行ってみた。

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2011年2月12日 (土)

『毎日かあさん』を見る

正月明けに劇場に『酔いがさめたら、うちに帰ろう』を見に行った時に『毎日かあさん』の予告編を見て、そのベタな感じが嫌だったので試写を見ていなかった。最近になって関係者に、「騙されたと思ってみたら、後悔しない」と言われて雪の日に新宿ピカデリーに見に行った。結果は、損はしなかったが、それほどでもないと思った。

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2011年2月11日 (金)

『手に職。』がうらやましい

先日、「一畳敷」の展覧会を見たINAXギャラリーには、1階にちょっと個性的な書店がある。小さいながら建築や都市をキーワードに、なかなか渋い本が並んでいて、いつも時間を過ごす。「一畳敷」に衝撃を受けた後に和風の気分になってそこで買ったのが、森まゆみ著の新書『手に職。』だ。

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2011年2月10日 (木)

大森立嗣が描く若者たち

4月23日公開の大森立嗣監督『まほろ駅前多田便利軒』を見た。『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』ほどの衝撃はなかったが、十分におもしろかった。この監督はまっとうな道から外れた若い男たちを描くと、実に映画らしい場面を見せてくれる。

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2011年2月 9日 (水)

引きこもり70万人の時代

『AERA』には「気になる数字」というコーナーがあって、先週号には内閣府の調査で15歳から39歳までのうち、引きこもりが69万6千人という数字が取り上げられていた。これはちょっと多すぎではないか。日本人の海外への留学生が9万人から6万人に減ったことを、「内向きになった日本人」などと嘆いている場合ではない。

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2011年2月 8日 (火)

期待通りの映画『ザ・タウン』

始まったばかりの『ザ・タウン』を見た。今の時期は、大学の教師は期末の採点や入試や会議で追い回されるので、気が滅入っている。だからスパッと楽しめる映画が見たい。そういう気分でベン・アフレック監督・主演のこの映画を選んだ。

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2011年2月 7日 (月)

一畳敷で一瞬気が遠くなる

京橋にINAXギャラリーがある。ここは3つもギャラリーがあって、INAXならではの焼物の展覧会、現代美術の展覧会、そして建築文化をテーマにした展覧会が別々に開かれている。先日予定までに時間があったので、そこで時間をつぶしたが、建築文化ギャラリーの「幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷」展に妙にはまった。

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2011年2月 6日 (日)

村上隆『芸術闘争論』の身も蓋もないおもしろさ

先日、日本の建築家が活躍しているという朝日の記事を取り上げながら、なぜ現代美術では世界的なスターがほとんどいないのか、と考えた。というわけで、数少ないスターである村上隆氏の話題の新刊『芸術闘争論』をようやく読んだ。現代美術の仕組みを「傾向と対策」で語る身も蓋もない内容だが、抜群におもしろい。

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2011年2月 5日 (土)

『四つのいのち』のメッセージ

イタリア映画『四つのいのち』を見た。去年のカンヌ国際映画祭で話題になって、今年の東京国際映画祭のNatural tiff部門で上映されていた作品だ。最近の仏『カイエ・デュ・シネマ』誌で絶賛されていたこともあって試写を見に行ったが、期待通りのかなり独特な映画だった。

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2011年2月 4日 (金)

海外で活躍する日本の芸術家

先日の朝日新聞朝刊に、日本の建築家が海外で活躍していることが書かれていておもしろかった。ポンピドゥ・センターとルーヴル美術館の仏国内の分館がともに日本人だというのは前から知っていたが、やはりすごい。この記事には、ほかの建築家の最近の海外の仕事まで図にしてあってわかりやすい。

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2011年2月 3日 (木)

ソフィア・コッポラの静かな情感

ソフィア・コッポラの『Somewhere』を見た。去年の夏にベネチアで見て、かなりおもしろかった印象を持っていたので、もう一度見たくなった次第。二度目は、押し寄せてくる静かな情感に、泣きそうになった。孤独な中年男の話には、最近涙腺が弱くなったようだ。

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2011年2月 2日 (水)

吉行和子の透明な文章

若い頃の吉行和子が表紙の写真にひかれて、彼女のエッセー集『老嬢は今日も上機嫌』を買った。舞台の楽屋だろうか、編み靴の紐を締めて横を見ている白黒の写真は何とも爽やかで、見ていて飽きない。本の中味も、写真のようにシンプルで飾り気がなく、不思議な透明感のある文章が並んでいる。

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2011年2月 1日 (火)

胸を衝かれるイヴ・サンローランの生涯

前にも書いたように、ドキュメンタリー映画は撮られる対象が興味深い人間だと俄然おもしろくなる。『ハーブ&ドロシー』が典型的な例だが、『イヴ・サンローラン』はそれとは違った意味で、胸を衝かれた。

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