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2011年2月19日 (土)

見ていて楽しいゲンズブールの映画

5月に公開される映画『ゲンズブールと女たち』を見た。先日ここで書いた『イヴ・サンローラン』のようなドキュメンタリーと違って、俳優が演じているものだ。映画としてのできはそこそこだが、見ていて実に楽しかった。

私にとってゲンズブールというのは、不細工なヒゲ面でだらしない恰好をしているのに、ジェーン・バーキンを始めとしていつも美女に囲まれている不思議な存在だった。歌手のはずだが、歌がうまいのかどうかもよくわからない。
この映画を見て、彼の魅力がようやくわかった気がした。彼を演じているエリック・エルモスニーノがとにかくはまり役だ。『あの夏の子供たち』の脇役が印象的だった俳優だが、ゲンズブールに表情がそっくりだし、斜に構えた感じがピッタリだ。

映画は構成が弱く、エピソードの集積という感じだが、出てくる俳優たちがいい。特にブリジッド・バルドーを演じるレティシア・コスタは、その話し方といい、身振りといい、本当にバルドーがそこにいるようだった。ジュリエット・グレコ役のアナ・ムグラリスは少し美人すぎるが、グレコの野性味が出ている。ジェーン・バーキン役のルーシー・ゴードンは顔がちょっと違うけど、話し方や雰囲気はそのままだ。

そんなそっくりさんゲームは見ていて心地よく、それ以外にも『セラフィーヌの庭』で主演の画家を演じたヨランド・モローや去年亡くなった監督のクロード・シャブロル、ボリス・ヴィアン役の歌手フィリップ・カトリーヌなど、端役に大物たちが続々と出てくる。その賑やかな感じが映画に不思議な強さを与えている。
特にレコード会社の社長を演じるギョロ目のシャブロルは、亡くなる直前に撮られたものではないだろうか。パイプを吸いながら、大きな目を丸くする表情がたまらない。

主人公の分身がぬいぐるみなどの化物の形で時々出てくることも含めて、全体がカリカチュアのようであり、それがこの映画の魅力であり、弱さでもある。

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