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2011年2月28日 (月)

『ブラック・スワン』の不思議な魅力

本日発表されるアカデミー賞の5部門にノミネートされ、5月13日に公開される『ブラック・スワン』は何とも不思議な魅力に満ちた映画だ。監督のダーレン・アロノフスキーは、前作の『レスラー』でも身体的に何とも痛々しい場面を登場させたが、今回はその比ではない。痛々しさがほとんどホラーの域に達している。

バレエ「白鳥の湖」のプリマを演じることになったニナ(ナタリー・ポートマン)は、初日に向けて練習に励む。母と二人で住む彼女は精神的に追い込まれる。背中は掻き毟り、指のささくれをむしり取り、爪を切りそこなう。見ていて体が反応するくらい痛いシーンが続くかと思うと、演出家のセクハラのような指導や、ライバルの出現などが次々と現れる。

リアルなシーンなのに、後であれは夢だったのかと思ったり、幻想が事実だったり。それを強烈な映像と音楽で激しく盛り上げる。最近の脚本がしっかりとしたアメリカ映画とは違って、かつてのドラッグカルチャーの映画みたいだ。見ていると、種類の違う感情を何度もえぐられるたような気になった。

見終わると、異様に高揚した気分と、騙されたような違和感がないまぜになって落ちつかなかった。ある意味で男性の自分勝手な妄想のような映画でもあるし。これがアロノフスキー独特の魅力だろう。
ナタリー・ポートマンはアカデミー賞の主演女優賞を取るような気がする。

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コメント

ナタリーの主演女優賞受賞予想、どうもありがとうございました! ブラック・スワンは、簡単には記憶から消えない映画ではないでしょうか? ナタリーをはじめとしてキャストがみなキャリアの中で最高の演技をしているので、監督の引力の強さを感じます。見終わった後にも脳裏に焼きつくそんな映画体験をぜひ若い人にも味わってほしいでーす。

投稿: 野下はるみ | 2011年3月 7日 (月) 22時56分

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