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2011年2月 7日 (月)

一畳敷で一瞬気が遠くなる

京橋にINAXギャラリーがある。ここは3つもギャラリーがあって、INAXならではの焼物の展覧会、現代美術の展覧会、そして建築文化をテーマにした展覧会が別々に開かれている。先日予定までに時間があったので、そこで時間をつぶしたが、建築文化ギャラリーの「幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷」展に妙にはまった。

実は名前も知らなかったが、松浦武四郎は、江戸時代末期から明治時代初めにかけて日本国中を旅して、紀行本や地図を作った人らしい。「北海道」という名前をつけたのも彼という。会場には彼の膨大な著作の一部が展示してあったが、とにかく細密画のように細かいところまで描き込んだ絵が、見ていて何とも楽しい。

しかし最も衝撃だったのは、「一畳敷」の再現だ。松浦は全国を旅した後、70歳の時に自宅に畳一畳の書斎を作った。全国から古木を集めたものらしい。会場には畳が置いてあって、その周りは写真パネルなのだが、なかなかよくできている。靴を脱いで中に入り、ひざまずくと一瞬気が遠くなった。その小さな中に、急に小宇宙が現れたような気がしたからだ。

思えば地方から東京に出てきて、長い間少しでも広いところに住みたいと願望し続けてきた気がする。本やレコードをすべて並べたい、台所や寝室は別にしたい、などなどいつも考えていた。今の集合住宅に住み始めてからは、もうこれでいいや、と思っているが、まだどこかに空間への渇望感は残っている。たまに広い家に行くと、羨ましくなる。

そんな時に見た一畳敷。その無限の豊かさ。あのスペースなら自分の部屋の中にも作れるのでは、と一瞬考えた。本物が三鷹の国際基督教大学に移築されて保存されているらしいので、まずそれを見に行こう。

2月19日まで。入場無料。都会で疲れた中年におススメです。

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