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2011年3月 6日 (日)

たぶん15点目くらいのフェルメール

Bunkamuraのザ・ミュージアムで、「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」が始まったので、さっそく行ってきた。目玉はもちろん、展覧会名にもなっているフェルメールの《地理学者》だ。最近はフェルメールを目玉にした美術展が増えたので、ずいぶん見た気がする。世界には30数点しかないと言われるが、自分が見たのはこの《地理学者》でたぶん15点目くらいか。

といっても、そのうち7点は2008年の「フェルメール展」で見た。この展覧会は数を集めることを売り物にしていたせいか、駄作とは言わないが、あまりフェルメールらしくないものも数点あったように思う。

ではフェルメールらしいとは何か。私の印象は、左側に窓があって、少しだけ光が差し込み、その中に不可思議な人物がいる、というものだ。宗教的なテーマではなく、むしろ俗っぽい内容になのに、どこか崇高な神秘性を持つ。その意味で今度の《地理学者》は、実にフェルメールらしい。

左側の窓から差し込む光の中で、地図を前にして二本のコンパスを持つ長髪の男。その目はどこを見ているのか、何を考えているかわからない。この曖昧さがいい。会場のこの絵の横で見せていた解説ビデオで知ったのだが、男が来ているガウンは「日本風」を気取ったもので、当時の裕福な階級の象徴だったらしい。そう言われると日本の「綿入れ丹前」に見えてくる。今では冬の旅館くらいでしか着なくなったが。そんなことを考えると、いよいよ不思議に見えてくる。この地理学者にとって、日本はどのようなイメージだったのだろうか。

今回の出品作品はすべてドイツのフランクフルトにあるシュテーデル美術館のものだが、《地理学者》と対をなすと言われるのが、パリのルーヴル美術館にある《天文学者》だ。
ルーヴルにはフェルメールの代表作が2点あり、もう一つの《レースを編む女》は数年前のルーヴル展で日本に来たが、こちらはたぶん日本に来ていないと思う。私はルーヴルで何度もこの2点を見た。オランダ絵画セクションはあまり人がいないからだ。《天文学者》は、左側の窓から薄明かりが差す部屋で、長髪の男が地球儀を回しているもので、こちらも丹前のようなものを着ている。

世界に30数点しかなく、まとまって見られることはまずないとなると、日本で1点、1点待つしかない。あるいは『フェルメール 全点踏破の旅』の著者のように、世界旅行に出るか。いずれにしても、この希少性が神秘さを増しているのは間違いない。
5月22日まで。その後愛知県に巡回。

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