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2011年3月

2011年3月31日 (木)

長崎俊一の安定感にとまどう

私が大学生の頃、10歳くらい上の監督たちの映画が続々と劇場公開されて、話題になっていた。大森一樹の『ヒポクラテスたち』や根岸吉太郎の『遠雷』、森田芳光の『家族ゲーム』等々。その後に続くように、さらに若い黒沢清や石井聡互、長崎俊一といった監督たちの新作も公開された。それは本当に眩しかった。

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2011年3月30日 (水)

『アエラ』を降りた野田秀樹

野田秀樹氏が『アエラ』の「放射能がくる」という表紙に抗議して、連載を降りたことがネット上で話題になっているらしい。たかが筆者が一人降りたくらいで大騒ぎになるのが、いかにもネット社会らしい。昔だったら1週間後に別の週刊誌が小さな記事を書いて終わりだろう。

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2011年3月29日 (火)

「辺境」映画ふたたび

国際映画祭では、「辺境」の映画が勝利することが多い。1951年に『羅生門』がベネチアを制して以来、インドのサタジット・レイ、旧ソ連のタルコフスキー、イランのキアロスタミ、台湾のホウ・シャオシェンから、最近ではタイのアピチャッポン・ウィーラセタクンまで。去年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したトルコ映画の『蜂蜜』も、そんな1本だ。

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2011年3月28日 (月)

飛行機に乗り遅れる悪夢

今日は映画のことを書こうと思っていたら、いつも感想を記しているノートがいくら探しても見当たらない。そこでとりあえず、今朝がたに見た夢のことを書く。飛行機に乗り遅れる話で、最近よく見る夢だ。今朝のバージョンはパリだった。パリが多いが、ほかにはベネチアとアムステルダム、成田などがある。

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2011年3月27日 (日)

池袋にもいい飲み屋が

2年ほど前に転職して、職場の起点が銀座から池袋になった。正直に言うと、華やかできりっと気分が引き締まる銀座から比べると、池袋はごみごみして貧乏人ばかり多い場末に見えた。それでも2年もたつと、いい飲み屋が見つかる。東京芸術劇場の裏手の「おまた」は、そんな店の一つ。

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2011年3月26日 (土)

コーエン兄弟の不思議な歩み

最近のコーエン兄弟は一作ごとに作風を変える。先日映画館で『トゥルー・グリット』を見て、つくづくそう思った。『ノー・カントリー』の凄惨な殺戮劇の後に、『ボーン・アフター・リーディング』で意識的な出来の悪いコメディを作る。次の『シリアス・マン』はユダヤ的なユーモアが充満する不思議な空間を作って、今度は『トゥルー・グリット』で西部劇のリメイクを作る。

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2011年3月25日 (金)

フランス人に裏切られた

私には外国人の友人が多い。今回も毎日のように励ましのメールが来る。何年も会っていない人からも、どうやってメールのアドレスを調べたのか、突然メールが来た。それは本当に嬉しいのだが、一つ嫌なことがある。日本に住む外国人のかなりが、何も言わずに自分の国に帰ってしまったことだ。

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2011年3月24日 (木)

かつての日本語の豊かさ

どこかの書評で紹介されていた藤井貞和著『日本語と時間』を読んだ。古代人は過去を表すのに、「き」「けり」など八種類の助動詞を使い分けていたが、現在では「~た」だけになってしまったという。この本は過去の助動詞を使った古文をいくつも引用しながら、その微妙な違いを追及したものだ。

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2011年3月23日 (水)

『奇跡』という題名がいい

是枝裕和監督の映画は、題名がいい。『誰も知らない』や『ワンダフルライフ』、『歩いても歩いても』など、つい口癖になりそうなフレーズだ。今回の『奇跡』もまたそんな感じで、題名を聞いたとたんに見たいと思った。もちろん、ドライヤーの名作も思い浮かべたし(ちなみにその原題はOrdet「言葉」という意味)、それ以上にこんなドラマチックな題名をつける以上、相当気合いが入った作品だろうと思ったからだ。

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2011年3月22日 (火)

芸術選奨の結果を喜ぶ

今朝の朝日新聞で芸術選奨が発表されていて、いくつかの受賞者の名前が嬉しかった。一番痛快なのは、『ヘヴンスストーリー』の瀬々敬久監督。私はこの映画を見た直後に年間ベストワンと確信したが、辛うじてキネ旬ベストテンで3位に入ったくらいで、日本アカデミー賞などはかすりもしなかった。

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2011年3月21日 (月)

ヴィジェ・ルブランの自画像に驚く

三菱一号館美術館に「マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン展」を見に行った。もう一つ副題があって、「華麗なる宮廷を描いた女性画家たち」。チラシには“18世紀の「カワイイ」を描いた女たち”というキャッチも書かれているだけあって、可愛らしい女たちの絵が並ぶが、一番驚いたのは、ヴィジェ・ルブラン本人の自画像だった。

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2011年3月20日 (日)

楊逸の「大きな物語」

久しぶりに「大きな物語」を読んだ気がした。中国生まれで日本語で小説を書く楊逸(ヤン・イー)の芥川賞受賞作『時が滲む朝』のことだ。文庫になったので何げなく買ったが、もはや日本の小説からはなくなった「大志を抱く若者の青春と挫折」を描いた大仕掛けの小説に、胸が躍った。

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2011年3月19日 (土)

映画欄がなかった朝日新聞

金曜の夕刊はどの新聞も映画評が並ぶので、買うことにしている。実際、数紙を比べるうちに、何となく見たい映画が自分の中で決まってくる。ところが昨日の朝日と日経は、地震の影響か映画欄がなかった。読売と毎日はあったのに。経済紙である日経はともかく、なぜ朝日は震災後一週間もたって、映画欄をつぶすのか。

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2011年3月18日 (金)

田窪恭治の誇大妄想と「世界の深さのはかり方」のミニマリズム

木場の東京都現代美術館で始まった「田窪恭治展」と「Nearest Faraway 世界の深さのはかり方」という現代作家のグループ展を見に行った。田窪と言えば、1980年代末からフランスに行き、ノルマンディー地方の教会をバブル日本のカネで修復し、最近は金刀比羅宮の修復を手がけている異色の美術家だ。

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2011年3月17日 (木)

こんな時に『アンチ・クライスト』を見に行く

地震後2日目の日曜日に、ラース・フォン・トリアーの『アンチ・クライスト』をシアターNで見た。こんな時こそ、いつものような生活をしたいと思ったからだ。16:30の回で、観客は私を含めてわずか8人。みんな一人で来た、20代から40代の男性だった。

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2011年3月16日 (水)

怪情報ではなかったかもしれない

昨日ここで、在日仏大使館の怪情報に踊らされた、と書いた。しかしその後起こった爆発や首相の会見、首都圏の放射能増加(安全とは言え)などを見ていると、「怪」ではないかもしれないと思いはじめた。仏大使館のホームページも昨日の朝までは、だんだん落ちつく一方だったが、今朝になってまたトーンが上がった。

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2011年3月15日 (火)

在日フランス大使館の怪情報に踊らされる

昨日職場に着くと、同僚が「フランス大使館の仏語ホームページを見てくれ」という。大使館が日本にいるフランス人に、放射能を浴びる危険があるから東京を離れて関西に行け、と呼び掛けているらしい。慌てて見てみると、日本語のページではなく、仏語ページのみにかなりショッキングな内容が書かれていた。

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2011年3月14日 (月)

『キッズ・オールライト』のうまさ

レズの女二人が、人工授精で得たそれぞれの子供と四人で楽しく暮らしている。そこに現れた精子提供者のポール。実際にそうなのかは知らないが、現代アメリカ社会はこうですよ、というような「進んだ」設定だ。5人の登場人物の心理の変化がからみあって、何ともうまい展開で最後まで見せる。

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2011年3月13日 (日)

地震の日々

また地震について書く。戦中日記ではないが、こういう異常事態の時の日常が、どういうものだったかを記録しておきたいと思った。私は他人に比べても、記憶力が弱い。例えば阪神大震災の時に自分が何をしていたかは、あまり覚えていない。感動した映画の細部も、一週間たつとかなり忘れてしまう。このブログは文字通り備忘録だ。

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2011年3月12日 (土)

地震に考える

今まで幸いにして地震の被害にあったことがなかった。今度も被害とは言えない程度だったが、いろいろなことを考えた。まず本とDVDについて。本棚にきちんと入れたものはほとんど動かなかったが、積み重ねたりしていたものは、職場も自宅も床に散乱した。それから、何と帰宅難民になりかけた。

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2011年3月11日 (金)

羨ましい古書狂い

練馬区立美術館で、「鹿島茂コレクション1 グランヴィル 19世紀フランス幻想版画」展を見た。仏文学者の鹿島茂氏が買い集めた絵入り本や版画の中から、版画家グランヴィルのものを集めて展示したものだ。一つ一つの作品は小さいものが多いため、展覧会としての見ごたえはいま一つだが、これが個人の蒐集だというのが信じられない。

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2011年3月10日 (木)

ゼロ年代は苦手

実を言うと、「ゼロ年代」が苦手だ。「ロスジェネ」や「セカイ系」「アーキテクチャ」など、2000年以降に出てきた論壇の旗手たちが何を言っているのか、本当のところよくわからない。そんな自分にとって、円堂都司昭著『ゼロ年代の論点 ウェブ・郊外・カルチャー』は、なかなかわかりやすいチャート本だった。

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2011年3月 9日 (水)

『神々と男たち』を見られる喜び

グザヴィエ・ボーヴォワ監督のフランス映画『神々と男たち』は昨秋パリで見ていたが、先日の朝日と読売夕刊で絶賛の映画評を読んだらまた見たくなって、銀座のシネスイッチに行った。パリではあまり考えなかったが、日本で見ると本当にキリスト教そのものの映画だし、それ以上にフランスとアルジェリアの関係を巡る映画だと思った。

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2011年3月 8日 (火)

映画『輝ける青春』が出てくる小説

私が最も好きなイタリア映画の一つに、『輝ける青春』という6時間の映画がある。私にとって、これは何度見ても泣いてしまうメロドラマで、イタリア好きの人に会うといつも勧めている。最近、作家の太田治子さんから『時こそ今は』という新作小説が届き、読んでみたらこの映画が出てきた。

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2011年3月 7日 (月)

生パスタ好き

5、6年前に閉店になったが、かつて銀座に「トレ・コローネ」という名店があった。イタリア人シェフがいて、名物は生パスタだった。おいしい生パスタを食べたいと常々思っていたが、最近東銀座でめぐり合った。歌舞伎座裏の「オステリア・オロ」という店だ。

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2011年3月 6日 (日)

たぶん15点目くらいのフェルメール

Bunkamuraのザ・ミュージアムで、「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」が始まったので、さっそく行ってきた。目玉はもちろん、展覧会名にもなっているフェルメールの《地理学者》だ。最近はフェルメールを目玉にした美術展が増えたので、ずいぶん見た気がする。世界には30数点しかないと言われるが、自分が見たのはこの《地理学者》でたぶん15点目くらいか。

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2011年3月 5日 (土)

身につまされる『マイ・バック・ページ』

川本三郎氏の同名の本を原作にした映画『マイ・バック・ページ』の試写を見た。山下敦弘監督の静かな演出が際立っていたが、それ以上に映画の内容が身につまされて、見ていて落ちつかなかった。

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2011年3月 4日 (金)

ボケがはじまったかもしれない

先月、ショックなことがあった。アポを2回もすっぽかしたのだ。2度目に忘れていたことに気がついた時は、一瞬目の前が真っ暗になった。映画『明日の記憶』を思い出した。

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2011年3月 3日 (木)

「シュルレアリスム展」と「五美大展」

六本木の国立新美術館で始まった「シュルレアリスム展」を見に行った。ついでに開催中の「五美大展」というのものぞいたが、「シュルレアリスム展」がちょっと期待外れだったのに比べて、「五美大展」は予想以上におもしろかった。

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2011年3月 2日 (水)

『ブルーバレンタイン』に唸る

アカデミー賞では主演女優賞のノミネートに終わったが、4月23日公開の『ブルーバレンタイン』は相当の力作だ。デレク・シアンフランスという監督の2本目の劇映画らしいが、細かに作り込まれた脚本と、丁寧に撮られた映像に唸ってしまった。

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2011年3月 1日 (火)

くせになる西村賢太

今年の芥川賞は、一方は中卒の犯罪歴ありで、もう一方が名門のお嬢さんで慶応の大学院生と対象的な二人だったが、中卒の方の西村賢太の小説が妙におもしろい。受賞作の『苦行列車』を読んだらもっと読みたくなって、文庫一冊に入っている『けがれなき酒のへど』と『暗渠の宿』まで読んでしまった。これはくせになる。

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