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2011年3月30日 (水)

『アエラ』を降りた野田秀樹

野田秀樹氏が『アエラ』の「放射能がくる」という表紙に抗議して、連載を降りたことがネット上で話題になっているらしい。たかが筆者が一人降りたくらいで大騒ぎになるのが、いかにもネット社会らしい。昔だったら1週間後に別の週刊誌が小さな記事を書いて終わりだろう。

私も昨日『アエラ』の野田氏の「声明文」を読んで、おもしろいと思った。先週の表紙は世間を不安に陥れる煽情的なもので、自分がその号に書いている内容と逆だから辞める、という趣旨だった。筆者が雑誌の方針と違うから自分から降りるなんて、今どき珍しい文士みたいで爽快だった。

それと同時に、それを全文載せてご丁寧に先週の表紙の写真まで加えた『アエラ』も立派、と思った。正直に言うとそれだけだが、世間の反応は違うらしい。それをまとめると「あの『朝日新聞』が出している『アエラ』ともあろうものが、こんな売らんかなの表紙を作ってけしからん」ということになる。野田氏の文章にもそれに似たことが書かれている。

つまり、これが『東スポ』や『週刊文春』だったら、誰も何も言わなかったなかっただろう。私は今どき『アエラ』を信用している方が、遅れていると思う。確かに書いている筆者の多くが朝日新聞の記者だが、以前と比べて野田氏のような外部筆者が多くなったし、それ以上に「売らんかな」の表紙や記事が増え、広告のタイアップも目立つ。部数が減るなかで、それこそ『週刊文春』などと同じようにもっと売れる雑誌を目指しているだけのことで、その結果があの表紙だろう。

今どき新聞やその系列の雑誌を信じる方がおかしい。そういう安易な発想は昭和の時代の親方日の丸的で、日航や東電の無責任体質とつながるのではないだろうか。

野田氏の文章の終わりがおもしろい。「アエラという雑誌は何を目指しているのですか?フィクションですか?それともノンフィクションですか?」。

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