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2011年3月21日 (月)

ヴィジェ・ルブランの自画像に驚く

三菱一号館美術館に「マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン展」を見に行った。もう一つ副題があって、「華麗なる宮廷を描いた女性画家たち」。チラシには“18世紀の「カワイイ」を描いた女たち”というキャッチも書かれているだけあって、可愛らしい女たちの絵が並ぶが、一番驚いたのは、ヴィジェ・ルブラン本人の自画像だった。

ヴィジェ・ルブランと言えば、マリー=アントワネットの肖像画で知られる。ヴェルサイユ宮殿やウィーン美術史博物館には、その肖像画がいくつもあるはずだ。今回は彼女によるさまざまマリー=アントワネットが見られるのかと思っていたら、違った。

マリー=アントワネットを描いたものはたった2点しかなかった。フランスから来た1点は、ちょっとよそを向いて不機嫌な感じで、期待外れ。ヴェルサイユにはもっと優美な絵がたくさんあるのに。東京の富士美術館所蔵のものは、死後描かれたなのでどこか生彩を欠いている。

驚いたのは、3点もあったヴィジェ・ルブランの自画像。いずれも頭にスカーフを結んで仕事中、という感じだが(2点は絵筆を握っている)、その姿がとびきり可愛い。周りに宮廷の人々を彼女が描いた肖像画が展示してあるが、それらに比べて圧倒的に目立っている。

普通に考えれば、自画像の方が可愛いなんて、注文主からしたらとんでもないことだと思うのだが。カタログを読んでみると、「ヴィジェ・ルブランはまた、王妃マリー=アントワネットの注意を惹くもとになった自らの美しさを最大限に利用した。彼女の肖像を欲しいと望んだ幾人かの顧客の要望にも応えた」。

ということは、ヴィジェ・ルブランがマリー=アントワネットに引き立てられたのは、画家として以上に、その同性愛的魅力によるということか。
自画像以外で可愛らしいのは、ポリニャック公爵夫人の肖像画だ。ポリニャック夫人と言えば「ベルばら」でも有名な、マリー=アントワネットがずいぶん贔屓にした女性だが、頬が赤らんでいて、何とも初々しい。ちょっとヴィジェ・ルブランに似たタイプの顔つきだ。こうなるとマリー=アントワネットをめぐるレスビアン的世界が見えてくるようで、何とも興味深い。
5月8日まで。

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