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2011年3月 8日 (火)

映画『輝ける青春』が出てくる小説

私が最も好きなイタリア映画の一つに、『輝ける青春』という6時間の映画がある。私にとって、これは何度見ても泣いてしまうメロドラマで、イタリア好きの人に会うといつも勧めている。最近、作家の太田治子さんから『時こそ今は』という新作小説が届き、読んでみたらこの映画が出てきた。

太田さんには数年前に仕事でお世話になって、話しているとイタリア好きだとわかったので、このDVDをプレゼントした経緯がある。その後感想なども聞いていなかったが、こうして小説に使われるとは思いもよらなかった。

主人公の明子は58歳。物語の後半に心を寄せる男性にこの映画の話をする。相手もそれを見ていた。明子は「ニコラは私の理想の男性よ」と言い放つ。
ストーリーは図書館に勤める主人公が、テレビの台風のニュースで、宙づりにされた元夫を見ることから始まる。そこから解きほぐされる複雑な過去の男女関係。読みながら主人公と世代の近い著者を思い浮かべずには、いられなかった。明子の生き方や考え方が何となく太田さんに似ているような気がしてきてしまう。

どちらにしてもこの小説は、いわゆる団塊の世代に捧げる挽歌だ。考えてみたら『輝ける青春』にもそのようなトーンがある。1970年頃に希望と挫折を味わった世代は、世界中にいるのだと思う。そういえば、先日見た『マイ・バック・ページ』もそんな世代を描いている。

自分はずっと若いはずなのに、この時代にシンパシーを感じるのは何故だろうか。世界中のこの時代の動きが気になってしょうがない。だから分厚い『1968』上下巻(『1Q84』ではない)にも、あんなに没頭できたのだろう。映画でも、日本の『実録 連合赤軍』もドイツの『バーダー・マインホフ』もイタリアの『夜よ、こんにちは』も、とても他人事とは思えない。

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