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2011年3月14日 (月)

『キッズ・オールライト』のうまさ

レズの女二人が、人工授精で得たそれぞれの子供と四人で楽しく暮らしている。そこに現れた精子提供者のポール。実際にそうなのかは知らないが、現代アメリカ社会はこうですよ、というような「進んだ」設定だ。5人の登場人物の心理の変化がからみあって、何ともうまい展開で最後まで見せる。

アネット・ベニング(ニック)とジュリアン・ムーア(ジュールス)の、中年女性らしい「すっぴん」の感じがいい。二人は歯磨きをしながら口論したり、ベッドで手を握ったり。ニックのキャリア志向で男性的な感じと、ジュールスの芸術的で行き当たりばったりの生き方が、そのまま女優たちの表情や体の動きに出ている。

子供たちとジュールスは次第にポールに惹かれ、ニックは孤立する。「あの男が家族みんなを奪ってゆくような気がして」。ところが娘の大学進学を祝う5人の夕食会で、ニックはポールと音楽の趣味が近いことがわかって盛り上がり、打ち解ける。そしてその直後に、ジュールスがポールと関係を持っていたことを知る。共感から決裂へ、そしてその和解へ。何ともうまい脚本だ。一つ一つのセリフもおかしい。

娘が大学の寮に入るシーンで、物語は終る。ポールだけはアメリカ的な結末からはちょっと外れるところが、いかにもフェミニズム的な展開というべきか。

おもしろい設定とこなれた脚本と見事な配役で、何とも楽しい映画だが、私にはどこか作りものの器用さが鼻についた。この作品もそうだが、今年のアカデミー賞にからんだ映画には、『ザ・ファイター』も『ブルーバレンタイン』もなど、練り上げられた脚本が光る映画が多い。
4月29日公開。

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