ホンマタカシのスノビズム
ホンマタカシという写真家がいる。かつて東京郊外を撮った写真を発表していて、審美的でない無機質な感じが印象に残っていた。初台の東京オペラシティ・アートギャラリーで大きな個展が始まったので、見に行った。全体として、スノビズムが漂ういささか不快なものだった。
最初はTokyo and My Daughterと題した連作。ポスターなどにも使われている写真だが、自分の娘をここまでさらすのかと思っていると、渡された作品リストには「少女はホンマの子供ではないし、さらに少女の写真が撮った写真の複製も混じり込んでいる」。道理でヘタな写真も混じっているが、このような遊びは知的でもないし、おもしろくもない。
次にre-consructionとして、ホンマが撮影した雑誌や広告の写真を、本の体裁にして何十冊も並べる。この意味ありげなスノビズム。あるいは、マクドナルドのアメリカの各地の店を撮った写真群を床に並べる。で?
極めつけは、雪の中の嘘っぽい血痕の写真の連作。壁の上の方には、関係ありそうなドローイングまで並んでいる。
最後になぜか暗い部屋で老人が煙草に火をつける映像が、反復されている。作品リストによれば、ホンマが尊敬する写真家の中平卓馬を撮ったものらしい。尊敬はいいけど、これは何?
おもしろくもない普通のものを、あえて意味ありげに見せる。そんなスノビズムは私は苦手だ。ちょうど「ナントカ映像祭」で見せられる現代美術の映像作品に似たところがある。
前回の曽根裕といい、オペラシティアートギャラリーの最近の個展は、どうも私の苦手な作家ばかりだ。あるいはやはり、もう私には最近の現代美術はわからないのかもしれない。
その後に見た収蔵品展に展示されている李禹煥の20点を超す絵画の、何と爽やかなことか。
ホンマタカシ展は6月26日まで。
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