« パオロ・ベンヴェヌーティの純粋映画 | トップページ | 『127時間』の一点突破 »

2011年4月 4日 (月)

CIA恐るべし

なぜかスパイの話が大好きだ。国家機密とか、情報戦とかが出てくる本はだいたい手に取る。有馬哲夫著『大本営参謀は戦後何と戦ったのか』もその一冊。この著者はかつて『原発・正力・CIA』という本を読んだが、要するに公開されたCIA文書を読んで、日本の戦後史の裏面を暴くやり方だ。

我々は通常、戦後はアメリカの占領下で東京裁判が行われ、軍閥は解体されて政治指導者も消え去ったと考えている。ところがこの本を読むと、戦犯とならなかった参謀たちの多くが生き残り、GHQからお金をもらいながら、治安維持、対共産圏インテリジェンスなどに携わり、警察予備隊を経て自衛隊を作る過程に係わったことがわかる。

この本によれば、そもそも「利用価値」が高いと思われた軍人は、巣鴨プリズンへの収監を逃れたという。GHQは日本に滞在する要因を次第に減らすと並行して、「地下政府」と呼ぶ宇垣機関、川辺機関などの旧軍閥からなる組織を最大限に利用し、日本の治安や対ソインテリジェンス活動を進めている。

すごいのは、CIAの記録に、いつ誰が誰にいくら払ったが克明に描かれていることだ。お金だけではなく、ラジオ、カメラなど日本の軍閥が要求するものは、何でも与えている。
それどころか、一万人を超す「日本義勇軍」を組織させてアジア各地に送り込み、反共活動に当たらせているのだ。
そうして彼らの一部は、再軍備を準備して、自衛隊の中枢となった。

この本を読みながら、『敵こそ、我が友 ~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~』 というドキュメンタリーを思い出した。これは元ナチスの将校が、戦後はCIAからお金をもらいながら、南米の反共対策を担った後を追うものだ。CIA恐るべしである。

|

« パオロ・ベンヴェヌーティの純粋映画 | トップページ | 『127時間』の一点突破 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/51297369

この記事へのトラックバック一覧です: CIA恐るべし:

« パオロ・ベンヴェヌーティの純粋映画 | トップページ | 『127時間』の一点突破 »