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2011年4月 6日 (水)

若林亜紀氏は変わっていなかった

若林亜紀というフリー・ジャーナリストがいる。かつて役所の無駄を週刊誌などで徹底的に暴いて、実に爽快だった。ところが前回の参院選に「みんなの党」から出たのであれっと思っていたが、最近出たばかりの新書『体験ルポ 国会議員に立候補する』を読んで、変わっていないことがわかった。

彼女は私より少し若いだけだし、彼女も自分が昔勤めたような特殊法人にいたことを知ってからは、勝手に親近感が湧いていた。その文章には、天下りが何人もいる組織にいた実感が感じられた。

さて、今度の本は自分の選挙の体験を、例によって包み隠さず書いている。浅尾慶一郎議員に立候補を誘われた時には、費用は党がすべて持つと言われたのに、実際には出馬を表明した後に供託金600万円を払えと言われて、従ったこと(結局選挙後にその金は党が支払う)。党のために出版社を見つけて書いた本が、渡辺代表の一言でカバーを刷り直したり、何度も発売時期を遅らされたこと(結局彼女は渡辺党首の乗る大阪行き飛行機に勝手に同乗して直談判をする)、イケメンの選挙プランナーに騙されたこと。

600万円を集めるのに、自分の築20年の37平米のマンションを担保に金を借りようとしたが借りられず、元銀行員の浅尾議員の口利きで借りられたこと、その時に銀行員に「こんな低い収入でよくやっていけますね」と言われたこと。とにかく何でも細部まで書いてある。

結局落選するのだが、すべてを淡々と書いていて、妙に明るい。「でも、選挙は楽しかったし、初挑戦でよい経験になった」。変な恨みもつらみもない。もちろんインターネットやメールでの選挙運動が禁じられているので、郵便が儲かる仕組みになっていることや、選挙ビラは演説会場か新聞折り込みでしか配れないため、新聞販売店を利する構造になっていることなどは、きちんと書いている。

この本はとりあえず、楽しく読めた。若林氏には、また威勢の良い役所批判記事を書いて欲しい。

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