若者で賑わう岡本太郎展
最近は映画も美術館も自分より年上の観客が増えたが、竹橋の東京国立近代美術館で8日まで開催中の「岡本太郎展」は、圧倒的に若い人が多かった。生誕百年でNHKのドラマになっていたりしたのは知っていたが、これほどの人気とは知らなかった。
確かに展示はわかりやすい。最初に暗い中で奇妙な形のオブジェにスポットライトを当て、それから初期作品に移ってゆく。万博やテレビ番組の映像を見せたり、書籍を壁の上の方まで展示したり。かと思うと後半に絵画を天井までみっちり展示した後に壁に彼の言葉を並べ、出口ではおみくじのようにその一つを引いて持ち帰ることができる。美術展に慣れていない人にも楽しめる工夫がなされている。
その分、絵画そのものの数は多くない。黒、赤、青を中心とした勢いのあるタッチはそれなりにおもしろいが、絵画としての革新性は、あまり感じられなかった。むしろ本人のキャラクターが、大衆消費社会に向かう日本と不思議とマッチしたように思えた。彼の絵画の迫力は、日本の高度成長そのものではないか。
一番おもしろかったのは、テレビの「今夜は最高」の映像で、タモリを完全に圧倒していた。
そういえば、一度だけ岡本太郎を間近に見たのを思い出した。ある来日したフランス人の映画監督のためのパーティーで、友人の岡本は自分への賛辞が寄せられるや手や首を動かしはじめ、しまいに椅子から立ち上がってダンスを始めた。
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