高倉健の本音
先週の『週刊文春』には、高倉健が東映の岡田茂元会長の葬儀に欠席したことが書かれていた。どうも高倉健は一般のイメージとは違って(あるいはイメージ通り)、相当の難しい人らしい。東映元会長の葬儀に欠席だけなら、60年代のヤクザ映画以降の確執など考えられるが、その記事によると冠婚葬祭などあらゆる公式なものに出ないらしい。
文化功労者に選ばれても、天皇とのお茶会に出ない。元妻の江里チエミの葬儀にも欠席するが、毎年命日には桐箱入りの線香を送るという。石井輝男監督の葬儀にも欠席したが、網走のお墓に「安らかに」と彫らせた、云々。
映画も6年前の中国映画『単騎、千里を走る。』以来出ていない。どうしているのかと思ったら、最近読んだ劉文平著『証言 日中映画人交流』という新書の中にこんな言葉があった。
「今でも僕は好きじゃないんですよ。やっぱりキャメラの前に出るっていうのは、好きじゃない。はい、気合い入れてやりますけど、これが仕事だから、もうしょうがない。……楽しむっていうふうには僕にはできない。……年に何本も、えっと思うようなお話も来ますけど、僕はどっかで気取っているところがあるんです。役だって思えば何だってできるはずなのに、何かもう一つ、ぽっと燃えるようなものが欲しいね」。
この本は同じ劉氏の『中国10億人の日本映画熱愛史』に比べるとあまりおもしろくないが、高倉健の部分は何とも本音が伝わってきて興味深い。
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