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2011年5月24日 (火)

ガリマール社が百年

フランスにガリマールという出版社がある。文学においては圧倒的な権威を持つ老舗だが、少し前の朝日新聞に、パリの国立図書館でガリマールの創立百年記念の展覧会が開かれているという記事があった。そういえば、今年初めの仏誌「Le Nouvel Observateur」 にその特集があったのを思い出した。

そこには「ガリマールと私たち」と題して、さまざまな作家がこの出版社との付き合いを語っている。感動的なのは外国人作家だ。チェコ出身の作家、ミラン・クンデラがクロード・ガリマールに促されて68年のチェコ事件後にフランスに亡命する話だ。

トルコのオルハン・パムクは、彼の父が小説家志望で時おりパリに行っては最新の小説を買ってきていたことを書いている。「5歳の時からガリマールの名を知っていた」。そして1984年にガリマール社と初めて出版契約書を結んだ時は、「心臓が破裂しそうだった」。

ガリマール社は「プレイヤード叢書」という世界文学全集のようなものを出している。全作品が薄い紙の厚い本数冊に入るが、基本的に死んで評価の定まった作家しか入れない。そこに入る事は「プレイヤード入り」というくらい権威のあるものだ。確かクンデラが現存作家で「プレイヤード入り」したことが、最近のニュースになっていた。
自分の手元にもプレーヤード叢書が数冊あるが、もう二十年以上開いていない。

あえて日本で言うと岩波書店がそれに近いだろうが、あれほどのオーラはないし、世界の作家たちへの影響力もない。先日筑摩書房の歴史を描いた本についてここで触れたが、やはり出版社というのはその国の文化そのものだと思う。

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