相変わらずミもフタもない上野千鶴子
年をとったせいか、時代論が好きになった。とりわけ自分の学生時代の1980年代を扱った本だと思わず買ってしまう。昨秋出た文庫『消費社会から格差社会へ』は上野千鶴子と三浦展の対談だが、「1980年代からの変容」という副題で手に取った。一読して、上野千鶴子のミもフタもない発言が際立っていた。
以下、気になった彼女の発言を載せる。
「団塊世代には、フローがなくなっても持ち家というストックだけはある」
「今は愛人を持つのはチープですよ」
「女同志というのは、連帯する相手ではなくて出し抜く相手」
「均等法が日本の雇用慣行を変えなかったこととか、労働の柔軟化によって女が怒涛のごとく非正規雇用へ押し流されていったこととか」
「日本の女は生産参加を通じての自己実現ではなく、消費を通じての自己実現を選んだ」
「(日本は)平和に滅びてくれればというのが私のシナリオ。日本の安楽死説です」
「小泉政権のネオ・リベとナショナリズムの結託は歴史の偶然」
「家族はもはや贅沢品」
「個人の性行動や出生行動に、国家権力は介入すべきではない」
「高学歴カップルの子供たちほど、文化系おたくのフリーターになっている」
「(再婚で)女にとって結婚は生活手段、男にとって結婚は介護要員の調達」
「最近の若い子たちは、(海外旅行や性交などによる)ノイズの発生をいやがる」
「東大女子は女性性偏差値も高いですよ、ただそれを売り物にしないですんでいるだけで」
「団塊ジュニアの男女関係もテンションが低くて、老後の茶飲み友だちカップルですよ」
「下流の人たちにパソコンのヘビーユーザーが多い」
「(今の学生は)他人から否定的に評価されることに、ものすごい恐怖心がある」
「日本の消費社会化の世界に誇れる達成は、コンビニとファミレス。コミュニケーションスキルのない人でも生きてゆけるインフラを作ったのだから」
三浦展の発言で唯一おもしろかったのは、堤清二は「わざと破滅するようにやっていた」とか、彼が(パルコの)増田通二に劣等感があったとかいう指摘だ。
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