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2011年6月21日 (火)

ディズニーランド的教育

時々、ベストセラーを読む。いつも世の中の主流と無関係な本を読み、映画を見て暮らしているので、「みんなが読んでいる」らしいものを手に取りたくなる。今回買ったのは、『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方』。キャッチが“「素質」は問わない。 チーム全員がリーダーになるように「人を育てる」法則”。

30万部近く売れているらしいが、たぶん、職場で最近の若者をどう指導したら悩んでいる私の世代の中間管理職が、大量に買っているのだろう。かくいう私も教師として、できの悪い学生にモチベーションを与えるヒントがあるかもしれない、と少しだけ期待していた。

結果は大外れ。「後輩との信頼関係を築く」とか「後輩のモチベーションを高める」とか当たり前のことしか書いていない。

一言で言うと、相互監視体制を強め、みんなで無理して顧客サービスをしましょう、という話である。ゴミ一つないディズニーランドで、いつもニコニコのキャスト(この言葉が私は苦手だ)が、驚異的な親切さで客に対応することが最高の美徳として書かれている。こんなに無理をしたら、病気になってしまう若者が陰にはたくさんいるに違いない。

コンビニでもファミレスでもそうだが、日本の資本主義は究極の顧客サービスによって利潤を追求する方法を選んできた。その結果として、自分でものを考えない、他人への想像力を欠いた、あらゆる社会的な摩擦に耐えられない、究極の弱い人間を大量に生み出している。

最近は「震災後の生き方」というのが流行っているが、少なくともディズニーランド的な教育は今後止めた方がいい気がする。顧客サービス精神というものの是非を考える時に来ている。

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