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2011年6月11日 (土)

周防正行の不思議さ

最近、必要があって周防正行監督の『それでもボクはやっていない』(2007)をDVDで見た。劇場公開時に見逃していたので、今回が初めてだったが、実におもしろかった。2時間20分もあるのに、画面に引き付けられて最後まで一気に見てしまった。

冒頭の2つの痴漢事件とその逮捕のシーンから、一気に観客を映画の中に引き込む。そして10回を超える裁判の公判シーンの臨場感。気をつけて見ていると、検察や弁護士、証人や被害者の一言一言で状況が微妙に変わる過程を、裁判所にいる人々の表情のちょっとした動きで見せている。その計算されつくしたテクニックにまんまと乗せられる感じだ。

かつて『ファンシーダンス』でお坊さんの毎日を、『シコふんじゃった』で相撲界を、『Shall we ダンス?』でバレエの世界を丁寧に解説したように、今回は刑事事件の裁判を細部まで克明に見せる。留置所の生活、接見、弁護士の活躍から法廷の進行まで。弁護士のみならず、被告経験者まで現れて、裁判とは何かを教えてくれる。まるで教育ビデオのようだ。気になりだすと、そこがくどい。

それにしても、周防監督は不思議な存在だ。前作『Shall we ダンス?』から11年もたっての新作だが、毎回豪華な俳優を揃え、東宝などの資本が入るメジャーな映画を作る。映画自体も、まるでハリウッド映画を目指したような周到に計算された物語だ。おもしろい、けど乗せられた感じ。

立教大学出身の同世代の黒沢清や万田邦敏、あるいは少し若い青山真治が、相変わらずインディーな映画作りをしているのに比べて、このメジャー感と寡作ぶりは際立つ。そういえば周防監督は、これらのかつての仲間たちとの座談会などには一切出て来ない。なぜだろうか。誰かインタビューで聞いて欲しい。

そういえば新作『ダンシング・チャップリン』はスマッシュ・ヒットのようだ。これは予告編を見てその夫婦愛にうんざりしたが、やはりおもしろいのだろうか。

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