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2011年6月14日 (火)

山の映画は当たるのか

不況の映画界では、何をテーマにした映画が当たるかを考えるのに必死だ。最近は山をテーマにした映画が当たるらしい。邦画では一昨年の『剱岳』も、現在上映中の『岳』も当たっている。昨年のドイツ映画の『アイガー北壁』もそこそこの成績。そうした流れか知らないが、ドイツ映画『ヒマラヤ』が8月6日に公開される。

最初に山々のショットが映り、そこに二人の登攀者が見える。カメラは再び遠ざかる。大自然の前で人間なんて果てしなく小さいことがわかる出だしだ。

物語は、メスナー兄弟がナンガ・パルパートというヒマラヤ山脈の山に、ルパール壁から初登頂をするものだ。目の前を大きな雪崩が落ちてゆく中を登る二人。真っ白な山の美しさと凶暴さ、それに挑む兄弟をアップとロングで交互に見せるだけで盛り上がる。そして壮大な音楽。

問題はこの映画が、兄のラインホルト・メスナーの恨み節である点だ。彼が仲間の協力を得られず、初登攀したにもかかわらず下山中に不幸が起こることが、物語の根本にある。ドイツでは知られた話のようだが、私は全く知らずにこの映画を見たため、終わりまで見てようやく合点がいった。

それより何より、上から踊り狂うように落ちてくる雪崩を見て、私は今回の地震を考えた。自然の前に人間は余りにも小さい。それゆえに敢えて挑戦する人もいるのだろうが、私には山登りの気持ちは一生わからないだろう。

この映画は登場人物たちの顔がいいのも魅力だ。脇役でもいい役者が並んでいる。司祭役のマティアス・ハビッヒは『ヒトラー』の医者役が忘れらないし、『ヒトラー』や『白バラの祈り』で脇役だったアレクサンダー・ヘルトの議員もいい。

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