子供向け映画2本
もともとアニメも漫画もわからない私だが、ちょっと無理して、夏休みの子供向け映画を2本見た。『コクリコ坂から』と『忍たま乱太郎』。ジブリのアニメは子供向けではない、と言われそうだが、私にはそうなのだ。2本ともに予想以上におもしろかったが、いろいろ疑問も残った。
『コクリコ坂から』は、東京オリンピック直前の横浜が舞台だ。昔ながらの折り目正しい高校生、勤勉に働く人々、みんなが集う商店街。高度成長期の入り口の懐かしい日本だ。そして最後まで懐かしく、美しい日本のままで映画は終わる。
終わってあまりの肯定的ノスタルジーにぽかんとしてしまった。登場人物は全員いい人で、若者は清潔な恋愛をし、旧制高校的精神を讃え、徳間康快(徳間書店創業者)とおぼしき人物まで「徳丸」という名前で出てきて、「理解ある金持ち」を演じる。
水彩画のような景色の色合いは見ていて心地よいが、人物造形があまりにも型通りで陰影がない。今なぜこの映画を作るのか、わからない。
『忍たま乱太郎』に至っては、もっとわからない。こちらは漫画とアニメが元になった実写版だが、展開はあくまで漫画的で、すべてが誇張されている。わからないながらも、学園長の平幹二朗、くの一教師の中村玉緒、髪結いの鹿賀丈史、ウスタケ忍者の石橋蓮司や柄本明、ドクタケ忍者の松方弘樹といった名優たちがそれぞれのキャラクターをまさに誇張したようなメイクで派手に演じるのは、見ていておかしかった。
三池崇監督は『ヤッターマン』や『ゼブラーマン』がおもしろかったので見に行ったが、それらに比べると今回は大人が楽しめるものではなかった。
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