« 十年ぶりの歯石を取る | トップページ | 子供向け映画2本 »

2011年7月27日 (水)

『さすらいの女神たち』の渋さ

マチュー・アマルリックは、フランスのアート系の映画によく出てくる俳優だと思っていたが、今回その監督作品『さすらいの女神たち』を見て驚いた。昨年のカンヌで最優秀監督賞を取っているのもうなづける、実に渋い演出だ。

主人公はアマルリック本人が演じているが、落ちぶれた業界人。アメリカからショーダンサーのグループ「ニューバーレスク」を引き連れて、フランスの地方を回る。ル・アーヴル、ナントと回っている時に、パリの公演がつぶれて、一人パリに戻って何とかしようとするが。

旅回りをする主人公の落ちぶれた感じがいい。必死でかつての仲間や恋人を頼るが、うまくいかないうえに、やっと会えたかつてのボスを怒らせる。久しぶりに会った子供たちにも嫌がられる。一方でダンサーたちのユーモラスなショーはすばらしく、その日暮らしの彼女たちの強さに惚れ惚れしてしまう。

物語らしい物語はないし、映画そのものが主人公の人生のように行き当たりばったりに進んでゆく。しかしガソリンスタンドの女性とのちょっとした出会いや、ショーに出たいと胸を見せようとするスーパーのレジの女性とのやりとりなど、随所にきらめくようなシーンが満載だ。最後にミミと島に行って、仲間たちが合流するシーンは何とも泣けてくる。

まるで『オープニングナイト』のカサベテスのような、自由でありながら円熟した大人の演出だ。このいい感じがどの程度今の日本で理解されるか、ちょっと心配だ。9月公開。

|

« 十年ぶりの歯石を取る | トップページ | 子供向け映画2本 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/52319718

この記事へのトラックバック一覧です: 『さすらいの女神たち』の渋さ:

« 十年ぶりの歯石を取る | トップページ | 子供向け映画2本 »