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2011年7月25日 (月)

映画の展覧会は難しい

「映画の展覧会は難しい」というのは私の持論だが、それをあらためて確認するような展覧会を2つ見た。昨日終わった渋谷区立松濤美術館の「カレル・ゼマン展」と東京都現代美術館で10月2日まで開催中の「フレデリック・バック展」。ともに一時代を築いたアニメの巨匠だが、展覧会にするとなかなか難しい。

単純に比較すれば、スタジオ・ジブリがついて展示にお金のかかっている「フレデリック・バック展」の方が見応えがある。そのうえこちらは、アニメーションを作る前に描いた膨大な数のデッサンがある。

しかし基本はどちらも同じで、原画を見せてそれからできたアニメの短縮版をモニターやスクリーンで見せるというものだ。この2人の映像作品をよく知っている人にとっては、一つ一つの原画がおもしろいだろうが、そんな観客は少ないだろう。多くは原画をサッと見て、短縮版に見入る。

カレル・ゼマンは人形アニメ作家なので、彼が実際に使った人形まで展示してあって珍しかったが、映画のなかでは素晴らしい動きをしても、実物はずいぶんちゃちなものだ。

それぞれ出口のショップには短縮版でなく、完全版のDVDが売られている。結局これを売るためだったのかとさえ思ってしまう。

美術展は人が来る。映画は人が来る。しかし映画の展覧会は、労多くしてつまらないものが多い。そのうえに人が来ない。
そういえば、昨年東京都現代美術館で見た「借りぐらしのアリエッティ」展は、おもしろかった。種田陽平氏がアリエッティの住む世界を再現していたからで、まるで小人になった気分で歩くことができた。アニメの世界を現実に作り直すという、気の遠くなるような作業がなされていたこの展覧会は数少ない例外だ。

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