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2011年7月 4日 (月)

「新聞の映画評」評:『あぜ道のダンディ』など

評判がいいので『あぜ道のダンディ』を映画館に見に行った。正直に言うとおもしろくはあるが、こちらの期待値が高かっただけに、失望した。この映画のリアリティを欠いたユーモアは、学生映画に近い。もちろん光石研の名演技は学生映画にはないが。

最初は50歳のおやじ2人の話かと思ったら、途中からずいぶん安っぽい父子愛が描かれる。おやじはあくまで変な存在で、リアリティは子供たちの方にある。

最近、大学生くらいの子供がいる家庭の崩壊を描いた映画が多い。黒沢清の『トウキョウソナタ』は、父親の視点から描き、9月に公開される『家族X』は母親の視点を中心に作られている。この映画は最初は父親の視点で始まって、途中から子供、とりわけ息子に移る。その楽天的な手法や物語に魅力がないわけではないが、あまりにも抽象的だ。

調べてみたら、この映画は朝日で石飛記者が絶賛している。読売では土屋好生氏が「父の日にはこっそり一人で見ることをお勧めしたい。子供に涙を見せないためにも」と書いている。泣ける映画だったかなあ。日経で宇田川幸洋氏が「石井裕也の従来にあった毒気と乱暴なエネルギーは、どこへ行ってしまったのか」と批判して2点をつけていたので安心した。

上映後に偶然、監督のトークがあった。息子役の俳優に髪型も含めてそっくりだったので、妙に納得してしまった。

たまたまその日の映画欄では、イタリア映画『プッチーニの愛人』をどの新聞も小さく取り上げている。パオロ・ベンヴェヌーティはベネチアのコンペにも出品されるイタリア映画界の鬼才だが、その本邦初公開作がこの程度の扱いとは寂しい。単なる音楽映画だと思って、記者たちは見ていないのか、あるいは見てもわからなかったか。

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コメント

まったく同意します。


なぜか、今、邦画は、まったりした映画であれば、いいという風潮があるような気までします。

投稿: しお | 2011年7月 7日 (木) 20時22分

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