« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »

2011年8月

2011年8月31日 (水)

加藤陽子著『それでも日本人は「戦争」を選んだ』はなぜおもしろいか

2年ほど前に出て、この種の本にしては珍しくベストセラーになったというので、気になってはいた。最近1930年代の日本について調べだしたので、思い立って読んでみた。確かに、ウケた理由がよくわかる。

続きを読む "加藤陽子著『それでも日本人は「戦争」を選んだ』はなぜおもしろいか"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月30日 (火)

今年の横トリは小粒

3年に一度の国際現代美術展「横浜トリエンナーレ」(横トリ)を見に行った。今年からは事業仕分けで国際交流基金の予算がなくなり、代わりに文化庁の予算はついて、会場は横浜美術館が中心になった。美術館という空間はどうしても解放感がないので、それだけでもお祭り的な雰囲気がなくなるが、展示作品も小粒なものが多かった。

続きを読む "今年の横トリは小粒"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月29日 (月)

泣かせる邦画はどうも

最近の邦画は、何よりもまず泣かせようと工夫を凝らしているものが多い。現在公開中の『日輪の遺産』も、11月公開の『アントキノイノチ』も、丁寧に作られた力作だが、ちょっと構成が凝りすぎで引いてしまった。

続きを読む "泣かせる邦画はどうも"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月28日 (日)

夜行列車の思い出

1959年のポーランド映画『夜行列車』をほぼ30年ぶりにDVDで見ていたら、文字通り夜行列車が全編に出てきて(つまりこれも乗物の映画)、何とも懐かしかった。かつては国内でも外国でもよく寝台列車に乗ったのを思い出した。最初に乗ったのは、小学生の時。

続きを読む "夜行列車の思い出"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月27日 (土)

乗物の映画はいっぱい

フランスのジャック・ロジエという監督は、『アデュー・フィリピーヌ』(1962)がヌーヴェル・ヴァーグを代表する一本と言われながら、日本ではまともに公開されたことがなかった。ようやく昨年初めに数本が劇場公開公開されたが、10月にDVDボックスになるというので、そのうち『メーヌ・オセアン』(1983)の解説を書くことになった。そこでこの映画を「乗物の映画」と論じた。

続きを読む "乗物の映画はいっぱい"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月26日 (金)

大学とは何か

『博覧会の政治学』などで知られる社会学者、吉見俊哉氏の新著は、『大学とは何か』という直球の題名だった。少し前から急に大学で教えている私は、すぐに買って読んだ。12世紀から始まる大学の歴史の部分が長く、彼のほかの本に比べると少し退屈だったが、今の大学の置かれた状況が見えてきた。

続きを読む "大学とは何か"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月25日 (木)

夏は鱧

小津安二郎の遺作『秋刀魚の味』に、東野英治郎が「さかなへんにゆたかと書いて、ハモ」と言う場面がある。出世した教え子に囲まれたかつての中学教師の悲哀を一言であらわす名セリフだが、この映画を最初に見た時は大学生で、もちろんハモ=鱧は食べたことがなかった。ところがいつの頃からか、夏に食べたい料理の一番になった。

続きを読む "夏は鱧"

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2011年8月24日 (水)

「こんな人いるなあ」という映画

年をとると、映画を見て身につまされることが多い。映画の一シーンに、「こんなことあったなあ」と思い出す。11月に公開されるマイク・リーの『家族の庭』は、どの登場人物もまさに「こんな人いるなあ」という感じで、見ていて他人事とは思えなくなってくる映画だ。ロンドンが舞台の話なのに。

続きを読む "「こんな人いるなあ」という映画"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月23日 (火)

ハウスクリーニングを頼む

この年になって、なぜか初めてということが多い。今までやらなかったことを試してみたくなる年頃か。先日は、ハウスクリーニングを頼んでみた。要は金を払って掃除をしてもらうことだが、かなり驚きの体験だった。

続きを読む "ハウスクリーニングを頼む"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月22日 (月)

ラウル・ルイス追悼

今朝の朝刊各紙には出ていないが、チリ出身でフランスで活躍する監督、ラウル・ルイスが19日、70歳でパリの病院で亡くなった。100本以上作っている割には日本での公開は少ないが、最近では『見出された時』や『クリムト』(共にジョン・マルコビッチが怪演)が話題になった監督だ。私にとっては、1980年代半ばに『盗まれた絵の仮説』(1979)をパリで見て以来、気になる監督だった。

続きを読む "ラウル・ルイス追悼"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月21日 (日)

静止画像の力を考える

渋谷で試写を見て、恵比寿で飲み会に行く間に1時間ほど余裕があったので、ガーデンプレイスの東京都写真美術館に行った。ここは友人のフランス人が「わざと入口をわかりにくくして人が来ないように設計してある」と言ったくらい、建物が目立たない。しかし最近の展示は、映像系以外はおおむねおもしろい。

続きを読む "静止画像の力を考える"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月20日 (土)

朝日の『羅生門』の記事はおかしい

先週土曜日の朝日新聞夕刊の「昭和史再訪」シリーズで、「『羅生門』に金獅子賞」という記事があった。読んでみると明らかな間違いがある。筆者は面識のある記者だったので携帯で知らせてあげたが、一週間たっても訂正を出す気配がないので、ここに記しておく。

続きを読む "朝日の『羅生門』の記事はおかしい"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月19日 (金)

恵比寿のワインバーで酩酊

ワイン・バーは気をつけないと、支払いの時に異常に高いことがある。「濃いめのボルドー」などと言っていると、一杯3000円だったことが後でわかったりする。銀座の「シノワ」などがそうだ。その点、先日行った「ワインビストロ・ルージュ・ウ・ブラン」は良心的だった。

続きを読む "恵比寿のワインバーで酩酊"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月18日 (木)

『小津安二郎の反映画』を今頃読む

吉田喜重著『小津安二郎の反映画』が文庫になったので、初めて読んだ。吉田監督が小津について語るのは、テレビやシンポジウムなどで見ていてわかった気になっていたが、きちんと読むと想像以上に面白かった。蓮實重彦の分析を、実作者の立場からわかりやすく説いているようにさえ思える。

続きを読む "『小津安二郎の反映画』を今頃読む"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月17日 (水)

古代ギリシャ展に考える

上野の国立西洋美術館で9月25日まで開催中の「古代ギリシャ展」は、個々の展示作品自体は特におもしろくないが、全体として見るといろいろ考えさせられることが多かった。副題に「究極の身体、完全なる美」と書かれている通り、人間の裸体像がこれでもかと並ぶ。

続きを読む "古代ギリシャ展に考える"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月16日 (火)

『ツリー・オブ・ライフ』に半分退屈する

今年のカンヌでパルム・ドールを取った『ツリー・オブ・ライフ』を映画館で見た。15分くらいたったところで、突然天地創造が描かれ、原始時代の恐竜などが出てくるのでどうしようかと思ったが、終わりまで見ると、家族劇はそれなりの見ごたえがあった。それでも宇宙や生物の映像部分は、私には退屈だった。

続きを読む "『ツリー・オブ・ライフ』に半分退屈する"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月15日 (月)

いつだって大変な時代

堀井憲一郎という書き手がいる。いつも『週刊文春』の連載「ホリイのずんずん調査」が妙に気になっていた。そこで読んだのが、新書版新刊の『いつだって大変な時代』。オビの「大変大変と言い続ける私たちの頭の中を徹底解剖」という言葉に惹かれた。

続きを読む "いつだって大変な時代"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月14日 (日)

夏のガラス展3つ

暑い夏に清涼感をということなのか、あちこちでガラス工芸の展覧会が開かれている。サントリー美術館で10月10日まで開催の「あこがれのヴェネチアン・グラス」展、東京都庭園美術館で9月25日までの「皇帝の愛したグラス」展、三菱一号館美術館で8月21日までの「もてなす悦び」展。特に好きなジャンルではないので、駆け足で見た。

続きを読む "夏のガラス展3つ"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月13日 (土)

ジャンル映画の楽しみ

いわゆる「ジャンル映画」は楽しい。西部劇にせよ、ホラーにせよ、何十回も同じネタで繰り返してきた中から生まれた不思議なありがたみがある。ともに9月17日公開の『ラビット・ホラー3D』と『女と銃と荒野の麺屋』を見ながら、そんなことを考えた。

続きを読む "ジャンル映画の楽しみ"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月12日 (金)

真夏の高尾山に登る

真夏の高尾山に登った。実を言うと初めてだ。数年前に「ミシュラン3つ星」で話題になって以来、やたらに混んでいるというのでいよいよ行く気は失せていたが、行きたいという外国人がいたので付き合うことにした。山は涼しいかもという期待もあった。

続きを読む "真夏の高尾山に登る"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月11日 (木)

1938年のベネチア

最近、1930年代の日本が妙に気になってきた。一般に外国の映画祭で日本映画が賞を取ったのは、1951年のベネチア国際映画祭で黒澤明の『羅生門』からと言われているが、これは間違い。1938年のベネチアで田坂具隆の『五人の斥候兵』が国民文化大臣賞を受賞している。てっきりこれは日独伊の関係による賞だと思ったが、そうでもなさそうだ。

続きを読む "1938年のベネチア"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月10日 (水)

ほぼ二十年ぶりに『美術手帖』を買う

久しぶりに月刊誌『美術手帖』を買った。たぶん二十年ぶりくらいかもしれない。買ってみて、1600円もしたのに驚いた。それでも買った理由は、最近現美の個展にハマってしまった名和晃平の特集号だったからだ。「新スター誕生の瞬間を目撃せよ!」というキャッチにも惹かれた。

続きを読む "ほぼ二十年ぶりに『美術手帖』を買う"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月 9日 (火)

戦前のグローバリズム

最近、井上寿一著『戦前日本の「グローバリズム」』という本を読んで、1930年代の日本がいかに世界に開かれていたかに驚いた。そういえば少し前にここで書いた『紀元二千六百年 消費と観光のナショナリズム』は、日本の1940年がいかに消費と観光の年であったかという本だった。歴史の記述とは、実に恣意的なものだと思う。

続きを読む "戦前のグローバリズム"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月 8日 (月)

またも「辺境の映画」にやられる

上映中のトルコ映画『蜂蜜』もそうだが、「辺境の映画」は強い。9月公開のキルギスの映画『明かりを灯す人』を見てそう思った。そのうえ、『蜂蜜』のような深遠で精緻に作られた世界ではなく、こちらはあっけらかんとしたヘタウマのような映画だ。

続きを読む "またも「辺境の映画」にやられる"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月 7日 (日)

「黒ネコのタンゴ」はイタリアの歌だった

昨日の「朝日」朝刊でおもしろかったのは、別刷beの「うたの旅人」。私が子供の時大流行した「黒ネコのタンゴ」は、もとはイタリアの歌だったという話だ。そして記者は40年前にそれを歌った女性に会いに行く。まさかと思った。

続きを読む "「黒ネコのタンゴ」はイタリアの歌だった"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月 6日 (土)

「孫文と梅屋庄吉」展に失望

数日前に「やはり東博(東京国立博物館)は一番」と書いたが、間違いだった。同じ東博で「空海と密教美術展」と同時に本館特別5室(別料金!)で開催中の「孫文と梅屋庄吉」展を見て、そのいいかげんさに失望した。梅屋庄吉といえば、日本映画のパイオニアの一人であるが、その部分がほとんど欠落していたからだ。

続きを読む "「孫文と梅屋庄吉」展に失望"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月 5日 (金)

肝臓病は治る

渡辺純夫著『肝臓病』という新刊の新書を買った。帯に書かれていた「肝臓病は治る時代です」という文句に惹かれたからだ。酒ばかり飲んでいる今の私を知る人には信じられないだろうが、実を言うと30年以上前に肝炎を患って1年間ほど入院していたことがある。だから「肝臓病」という言葉には、今でも反応する。

続きを読む "肝臓病は治る"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月 4日 (木)

『一命』は問題作

最近見た映画で最も不可解な感じがしたのは、10月15日に公開される『一命』だ。今年のカンヌにコンペ初の3D作品として出品された三池崇史監督の話題作だが、見ていると疑問がどんどん浮かび上がってくる問題作だ。見終わって、ずっしりと見ごたえが残る作品ではあるのだが。

続きを読む "『一命』は問題作"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月 3日 (水)

佐野眞一の原発本

昨日の「朝日新聞」夕刊に、震災関係の本が4月から6月までで270冊、原発・放射能関係が5月から6月までで150冊出ていると書かれていた。7月に出た分を入れたら、震災、原発で500冊を越しそうだ。そんななかで佐野眞一の『津波と原発』を読んだ。

続きを読む "佐野眞一の原発本"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月 2日 (火)

やっぱり東博

やはり上野の東京国立博物館(=東博)は一番だ。9月25日まで開催の「空海と密教美術」展を見て、改めてそう思った。ここになら、京都や奈良のお寺がこぞって国宝を出してくれる。天井は高く、展示スペースは広い。いわゆる「見ごたえのある」というやつだ。

続きを読む "やっぱり東博"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月 1日 (月)

『ゴモラ』に再び驚く

今年はイタリア映画の傑作の公開が続く。ベロッキオの『愛の勝利を』に続いて、マテオ・ガッローネ監督の『ゴモラ』がこの秋に公開される。2008年のカンヌでグランプリを取ってから、3年もたっているが。既に「イタリア映画祭2009」で見ていたが、再見して改めて驚いた。

続きを読む "『ゴモラ』に再び驚く"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »