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2011年8月27日 (土)

乗物の映画はいっぱい

フランスのジャック・ロジエという監督は、『アデュー・フィリピーヌ』(1962)がヌーヴェル・ヴァーグを代表する一本と言われながら、日本ではまともに公開されたことがなかった。ようやく昨年初めに数本が劇場公開公開されたが、10月にDVDボックスになるというので、そのうち『メーヌ・オセアン』(1983)の解説を書くことになった。そこでこの映画を「乗物の映画」と論じた。

何せ、列車の検札係が主人公で、登場人物たちは列車から、車、船、自転車、飛行機、ボートと乗り物を乗り継いで話が展開してゆく。映画はリュミエール兄弟の『列車の到着』以来、移動する乗物と相性がいい、と書いた。

ところが、最近大学の授業の準備のために昔の映画をDVDで見直していたら、同じくらい乗物が出てくる名画がいくつもあった。

1つは、ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』(1959)。主人公のケーリー・グラントは冒頭のタクシーに始まって、車に誘拐されたり、列車に乗ったり。広い農場で小型飛行機に追い回されたり、パトカーにも救急車にも乗る。そしてラストは、有名な寝台特急のシーンだ。

もう1つはフランク・キャプラの『或る夜のできごと』(1934)。アカデミー賞を独占した、ボーイ・ミーツ・ガールの原型のような映画だが、自由な結婚を主張する女が閉じ込められたボートから抜け出す冒頭から、夜行バスでのクラーク・ゲーブルとの出会いと乗物が続く。ヒッチハイクで足を見せて一発で車を止めたり、結婚式場に飛行機で乗り付けるフィアンセから車で逃げたりと、女が乗物と格闘する場面がまさに見どころだ。

ドイツのF.W.ムルナウがハリウッドで撮った第一作『サンライズ』(1927)もまた、乗物なしでは成り立たない映画だ。都会の女に唆されて、男は妻をボートから突き落とそうとするができない。絶望して列車に乗り込む妻とそれを追いかける夫。都会に着いて、男は再び妻を愛し始める。車だらけの道路の真ん中でキスをする2人。そして舟で田舎に帰る二人。舟は沈むが、奇跡が起こる。これも舟と列車と車があってこそ成立する映画だ。

考えたらフォードの『駅馬車』もそうだ。小津にはいつも列車がある。いっそのこと、「映画と乗物」という授業をやった方がいいかもしれない。

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