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2011年8月14日 (日)

夏のガラス展3つ

暑い夏に清涼感をということなのか、あちこちでガラス工芸の展覧会が開かれている。サントリー美術館で10月10日まで開催の「あこがれのヴェネチアン・グラス」展、東京都庭園美術館で9月25日までの「皇帝の愛したグラス」展、三菱一号館美術館で8月21日までの「もてなす悦び」展。特に好きなジャンルではないので、駆け足で見た。

一番おもしろいのが、「あこがれのヴェネチアン・グラス」展。自館も含めて国内にあるヴェネチアン・グラスを中心にアメリカの美術館所蔵のものが加わって、その歴史が通観できる。驚いたのは16世紀から17世紀にかけてのもので、透明なガラスに金やエナメルの模様が施されていたり、レース模様のついたガラスなどは、その繊細な作りに惚れ惚れする。

17世紀以降、ベネチアン・グラスは欧州各地で流行し、似たようなものが作られる。日本にも入ってきて、和ガラスにも影響を与えている。そして19世紀以降、色彩豊かな華やかなガラスが作られる。我々が知っている「ヴェネチアン・グラス」だ。現代作家のものもあって、全体としてよくまとまっている。

「皇帝の愛したガラス」展は、エルミタージュ美術館所蔵品からなる。ヴェネチアン・グラスからボヘミアン・グラスを経てアール・ヌーヴォーやアール・デコまで盛りだくさんだが、見終わると散漫な印象だ。中心にあるのが、ロシアの帝室ガラス工場で作られた豪勢なガラスだが、どこか悪趣味な感じが残った。

悪趣味と言えば、「もてなす悦び」展はもっとそうだ。こちらはジャポニスムに影響を受けて19世紀末に欧米で作られたガラスや磁器が展示されている。日本風を装って、植物や動物を遮二無二押し込んだ感じのものが多く、意識的な悪趣味に思えた。西洋人の考える日本趣味とはこんなものかと思って、見ていて気が滅入ってきた。
こちらはアメリカのコレクターから三菱一号館美術館が寄贈を受けたものが中心だ。

今回のサントリーの「ヴェネチアン・グラス」展がそうであるように、あるテーマのもとに内外の美術館から作品を集めてくる展覧会はおもしろい。その組み合わせに学芸員の知性が発揮される。

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