韓国映画『アジョシ』を楽しむ
ほかの新聞ではほとんど触れられていなかったが、「読売新聞」で恩田記者が絶賛していたので、映画館に見に行った。見に行って、お金を払った以上の充実感があった。
基本的には派手なアクション映画だ。暗い過去を持つ元特殊部隊員(ウォンビン演じるアジョシ)が、犯罪者集団から隣に住む少女を救うために一人で戦うというものだ。まず脚本がよくできている。最初はアジョシが誰なのか、誰が悪いのか、全くわからない。その複雑に絡んだ糸がが少しずつほぐされてゆく。
後半、アジョシが戦いを決意して髪を切るシーンがいい。かつての鶴田浩二や高倉健が、一人で敵討ちに乗り出すような感じだ。そしてそんなやくざ映画よりも、迫力は何倍もある。まるで香港映画のB級で派手なノワール映画の伝統が、韓国に根付いている感じがした。
アジョシというのは韓国語で「おじさん」という意味だが、韓国ではこの映画がヒットして、ダサい象徴だったかこの言葉が急にカッコいいものになったと、劇場パンフに書いてあった。確かに少女が「アジョシ」と呼び、自らも「隣のアジョシ」と名乗るウォンビンは、鍛え抜かれた体やアクションもあって、何とも魅力的だ。
それから、隣の少女を演じるキム・セロンが、『冬の小鳥』の主演の女の子というのも良かった。『冬の小鳥』で父親に孤児院に入れられた不幸な少女の続編を見ているようだった。その大きな瞳は、相変わらず強烈に心をとらえた。
付け足し:後で見たら、1週間前に「朝日」で品田雄吉氏も書いていた。どうもこの人の文章は読まずにスルーしてしまう癖がついている。
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