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2011年9月19日 (月)

キスの美しい映画

キス、つまり接吻は難しい。どのような顔つきと身振りと気分でやるかは相手と状況次第で、こればかりはいくら年をとってもわからない。12月23日に公開されるガス・ヴァン・サントの新作『永遠の僕たち』で見られるいくつもの美しいキスを見ながら、そんなバカなことを考えた。

キスをするのは、他人の葬式を見て歩くのが趣味という奇妙な少年と、葬式で出会う余命わずかという少女。少年には、彼だけが見える元日本兵の友人ヒロシ(加瀬亮)がいる。映画は、生きているのか死んでいるのかわからないような3人の日々を淡々と見せてゆく。

特にヒロシのシーンはどう考えても何の脈絡もないし荒唐無稽なはずなのに、特攻隊に出発する青年が書いた手紙の朗読のシーンなど、なぜか痛切に心に沁みてくる。

繊細で壊れそうな心を持つ主人公たちの表情を、カメラは丁寧に追う。少年と少女が少しずつ仲良くなって、何度もキスをするシーンがだんだん胸に迫ってくる。そのうえ、彼らが身にまとう何気ない服装がその心情とシンクロしている。見ていると、まるで魔術にかかったように、心が締め付けられる。

見終わって、そのキスの美しさは若さゆえだと痛感した。さて、登場人物と同世代の高校生や大学生がこの映画を見たら、どう思うのだろうか。

ガス・ヴァン・サントは『パラノイドパーク』でも『ミルク』でも、見終わるとこれがこれまでの最高傑作のような気がしたものだが、今回は本当にそうかもしれない。

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