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2011年9月13日 (火)

9月のパリと飛行機で見るカンヌ出品作

パリでは、ペドロ・アルモドバルの新作「私が住む肌」La piel que habitoも見た。アルモドバルなら日本に配給されるに違いないが、早く見たいと思った。結果は、期待外れだった。

自分の娘が暴行されて自殺したことを知った外科医が、相手の男性に手術を施して自分の娘にしてしまうというもので、アルモドバルらしい奇想天外な物語だが、ちょっとえぐい。『トーク・トゥー・ハー』や『抱擁のかけら』などにあった純愛の形はなく、アントニオ・バンデラスのマッド・サイエンティストぶりだけが、目立ってしまう。

2012年の現在に始まり、2006年の娘が生きていた頃に遡りし、さらに数週間後、そして再び現在という展開は鮮やかでサスペンスに満ちている。しかしその作り込みに必然性は弱く、結局怪奇ものにしか見えない。家政婦のマリリヤとその息子の物語もあまり機能していない。面白い映画には違いないが、アルモドバルらしい愛の物語が希薄だ。

パリで見たのは3本で、あとは帰りの日航機で見たウディ・アレンの「ミッドナイト・イン・パリ」Midnight in Paris。こちらも今年のカンヌの映画だ。パリにやってきた婚約中のカップルの男性が、夜中に一人で街を彷徨っているうちにヘミングウェイなどに会うという話。これもあまりピンとこなかった。英語の字幕なしか、日本語吹き替え版しかなかったので、仕方なく字幕なしを選んだから、会話の絶妙なおかしさがわからなかったからかもしれない。ウディ・アレンを吹き替えで見たい人はどれだけいるのだろうか。

日航の機内で見られる映画のセレクションは、相当ひどい。邦画とアメリカ映画の大作がほとんどだ。これに比べたらエール・フランスの方が格段にいい。去年の夏はアルトマンの旧作『プレタポルテ』を楽しんだ記憶がある。これだけで日航を選ばない人だっているだろう。特に映画好きの多いヨーロッパの人々は、日本の大衆向けに作られたこの映画リストを見たら、2度と日航機に乗らないのではないか。

今回、パリの映画館で3本見て、封切館でもあまり座席が良くないのに気がついた。四半世紀前にパリに行った時は、その座席の良さに驚いたものだが。特に前との距離が近すぎて、飛行機のエコノミークラスのように、足の置き場がない。今の日本のシネコンの座り心地の良さに慣れると、パリの映画館はちょっとつらい。

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