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2011年9月 7日 (水)

つぶれそうなベネチア国際映画祭:その(5)

これまでは主に面白かった映画について触れたが、今日はそこそこのできの数本について書く。まず、好感が持てたのが、コンペに出た香港のアン・ホイ監督「シンプル・ライフ」A Simple Life。

米国での生活をやめて、香港の映画界で働く40前後のロジャーは、かつての自分の家に住み込んでいたお手伝いさんと暮らしている。そのお手伝いさんが年を取り、介護施設に入り、死んでいくまでをドキュメンタリータッチで描いたもので、特に驚きはないが、なかなかジンとくる作品だ。これは日本でも当たるのではないか。

イタリアのフィオレッラ・インファシェッリ監督の「拳を握って」Pugni chiusiは、サルデニアの会社から解雇された人々の戦いを撮った60分のドキュメンタリーで、「コントロカンポ・イタリアーノ」というセクションに出ていた。元牢獄に住み込んで抗議行動を続ける人々へのインタビューが中心だが、一人一人の語りに思わず引き込まれる。この監督はかつて『魚のスープ』という爽やかな映画を作っていたが、こういう映画を撮っていたとは。

アル・パチーノの「ワイルド・サロメ」Wilde Salomeは、彼が主演した舞台の「サロメ」を同じスタッフで映画化する様子を撮ったドキュメンタリーでコンペ外招待作品。愛すべき彼のキャラクターがにじみ出ているが、それ以上のものではない。

ニコラ・プロヴォストの「インベーダー」The Invaderは、「オリゾンティ」部門のベルギー映画。ヌーディスト村に流れ着いた違法移民のアフリカ人の生き方を描いたものだが、設定に無理が多い。ただ、冒頭に女性器のアップが出てきた時は、驚いた。題材はコンペに出ている「動かぬ大地」と同じ、欧州の海岸に流れ着くアフリカ人の不法移民で、こちらでは相当にアクチュアルな問題なのだろう。考えてみたら、日本も中国や北朝鮮の船が流れ着いているから同じか。実は『セラフィーヌの庭』という傑作の監督だと思って見に行ったが、そちらの監督はマルタン・プロヴォストで別人だということが、ここに寄せられたコメントでわかった。

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