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2011年9月 2日 (金)

つぶれそうなベネチア国際映画祭:その(1)

今年もベネチアへやってきた。「つぶれそうな」と書いた理由はいくつかある。まずは1週間後のトロント映画祭が急成長を遂げて、ビジネスの場としてはベネチアをはるかに上回るようになった。2005年頃まではベネチアにたくさんいた日本の配給会社は、今やトロントに行く。

さらに8月に開かれるロカルノ映画祭が、2年前にオリヴィエ・ペールがディレクターに就任して以来、ずいぶん評判がいい。

評判が良くなる2つの映画祭に囲まれたベネチアは、自らも問題を抱える。まずは新会場の建設問題。今の手狭な会場から、マーケットまでできる巨大な会場を目指して3年前から工事を始めたが、いまだにできない。というより、工事費がなくて工事が完全に中断している。去年までは完成予定図が描かれていたが、今年はそれも外された。映画祭会場の真ん中の広大な部分が、柵で囲まれて誰も入れないというひどい状態だ。

会場の近くでもう一つ大きな工事がある。『ベニスに死す』の撮影にも使われたホテル「オテル・デ・バン」が去年から改装中で、こちらも一向に進んでいない。最近の「ルモンド」紙によれば、2フロアーのみをホテルにしてあとは分譲高級マンションとして売り出すという。何とも情けない話だ。

けれでも、映画祭の中身はそれなりにしっかりしている。昨日、最初に見たのはコンペでロマン・ポランスキーの新作「カルナージュ」Carnage。今度は登場人物4人の室内コメディで、子供の問題で話し合う2組の夫婦の絶妙な掛け合いが、プレス試写でも大うけだった。かなり笑える映画だが、別にポランスキーがこういうものを作らなくても、という気がしないでもない。

次に見たのは、こちらもコンペで台湾映画の「虹の兵士たち」。日本統治時代の台湾の少数民族が、横暴な日本の支配に対して強い民族意識で戦うというもので、コテコテのB級映画だった。私は映画の中で日本兵の首がこんなに飛んだのを見たことがない。こういう明らかな大衆的作品をわざとコンペに入れるのが、今のディレクター、マルコ・ミュラーのスノビズムだ。日本からは安藤政信が出演しているが、ちょっと中途半端な役だ。

とりあえず2本とも、その後の食事の話題には事欠かないような中身だった。

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