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2011年10月25日 (火)

まだまだおかしい東京国際映画祭:その(3)

週末の空いた時間をぬって、3本を見た。偶然にすべてフランスと関係ある映画だった。まずはワールド・シネマの『黒澤 その道』。長年、黒澤明の仏語通訳を務めたカトリーヌ・カドゥーが自ら監督したドキュメンタリーだ。

この映画がおもしろいのは、現役の映画監督たち11人に黒澤のことを語らせている点だ。黒澤のすばらしさについては、評論家や研究者がいくらでも書いているが、監督たちの言葉は重い。

実を言うと感動したのは、それぞれの監督たちの老い方だった。クリント・イーストウッドやマーチン・スコセッシは昔と全く変わらず、若々しい。ところがベルナルド・ベルトルッチやテオ・アンゲロプロスは、ずいぶん老けたなあという感じだ。特に車椅子の上で語るベルトルッチは、顔に麻痺が残っていて、本人は楽しそうに語っているだけに痛々しい。この映画は権利の関係で日本での一般公開はできないらしいというが、何とももったいない。

次に見たのはコンペのフランス映画『最強のふたり』。下半身がマヒした金持ちと、介護をする黒人青年の交流を描いたものだが、いかにも観客の笑いと涙を意識したような通俗的なメロドラマ。映画館で公開する分にはいいが、国際映画祭でこんなものをワールド・プレミアでもないのにコンペに選ぶとは。

3本目はカンボジア出身のリティー・パニュが、大江健三郎の『飼育』をカンボジアに舞台を移し変えた映画で、フランスの製作だ。クメール・ルージュの兵士になる少年は本当に怖いし、静かな老人たちがリアルだ。黒人のアメリカ兵が、少年と遊ぶシーンが何とも生き生きしている。紙飛行機を飛ばしたり、糸電話で会話したり、米兵が修理したラジオで踊ったり。

ドキュメンタリーとフィクションが交錯するような、実験的で志の高い映画で、こちらがワールド・プレミアというから、まさにコンペにふさわしい作品だ。こういう映画をコンペ入れてこそ国際映画祭のはずだが。

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