« KLMと喧嘩する | トップページ | 吉本隆明の『真贋』に笑う »

2011年10月15日 (土)

また山形に来てしまった:その(5)

今年は久しぶりに山形国際ドキュメンタリー映画祭に3泊もした。最近は1泊や2泊が多かったが、3泊してみると、改めていい映画祭だなと思った。

例えば東京国際映画祭と比べて何がいいのか。それは何よりも山形というロケーションだ。特に山形がほかの東北の都市に比べてすばらしいわけではないと思うが、都市の規模が映画祭にぴったりだ。

ホテルから映画祭のいくつかの会場まで歩いて行ける。会場間ももちろん徒歩だ。その途中で友人や映画関係者や出品監督や審査員の監督たちに会う。「ああ、久しぶりだねえ」という声を何度も聞いた。市民や学生が監督に話しかけている場面も見かけた。この親密な空間が映画祭には必要だ。

そもそも伝統のある国際映画祭というのは、カンヌにしてもベネチアにしても、あるいはロカルノやサン・セバスチャン、カルロヴィヴァリなども、観光地や保養地だ。大都市はベルリンくらいで、それだってかつては首都ではなかったし、分断された街だった。

まず街に魅力があるから、バカンス気分で大都市から押しかける。映画の売り買いは別にすれば普段の仕事はできないから、映画を見るしかない。街を歩けば、知り合いや有名人に遭遇する。街は映画一色になり、その期間中は映画が王様だ。そんな映画の天国が、国際映画祭の魅力だと思う。

もちろん山形は上映作品もいい。コンペのレベルは粒が揃っているし、そのほかの特集上映がすばらしい。いつもアジア映画を特集する「アジア千波万波」に加えて、キューバ映画特集、地震関連映画特集、60年代70年代のテレビ特集、戦後の幻灯の再現、子供のための映画教室などなど数えきれないくらいある。そしてそのそれぞれにコーディネーターがいて、全体のディレクターとして藤岡朝子さんがいる。

運営のほとんどは、今や地元の人々がやっているし、特集のコーディネーターをやっている人もいる。ボランティアも気持ちがいい。

東京国際が今後どんなに進化しても、あの雰囲気は作れないだろう。

|

« KLMと喧嘩する | トップページ | 吉本隆明の『真贋』に笑う »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/52994485

この記事へのトラックバック一覧です: また山形に来てしまった:その(5):

« KLMと喧嘩する | トップページ | 吉本隆明の『真贋』に笑う »