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2011年10月22日 (土)

『ウィンターズ・ボーン』に似ている映画は

少女が大活躍する映画が好きだ。10月29日に公開されるアメリカ映画『ウィンターズ・ボーン』はその系統の映画で、17歳の少女が、一人で家族を支える。この映画について今週の『アエラ』に藤原帰一氏が書いた文章がおもしろかった。

「気丈な少女が頑張る設定だけを見れば『トゥルー・グリット』にそっくりだけど展開は正反対で、これはむしろ『フローズン・リバー』の親戚ですね」。

まさにその通り。『トゥルー・グリット』は、西部劇の伝統を踏まえた勇ましい復讐劇だったが、こちらはひたすらつらい少女の話。その意味で年齢はずっと上だが、つらい生活を送る女性が主人公の『フローズン・リバー』を思い出させる。

とにかく希望がない。母親は心を病み、一人で幼い妹や弟を育てる毎日なのに、麻薬売人の父親が保釈金を払わずに逃げたため、家が没収されそうになる。麻薬関係で親類まで邪魔をしに来る。少女は最後まで屈しないが、いっこうに希望が見えない戦いを淡々と描く点も『フローズン・リバー』と同じ匂いがする。そのうえ、2作とも演出が繊細で映画的な純度が高い。

ところで昨日の毎日新聞では、この映画を今日公開のイタリア映画『やがて来たる者へ』と並べて論じていた。確かにこちらも8歳の少女が一人で頑張る話だ。しかし『やがて来る者へ』は戦争の惨状をひたすら見せ、それを黙って「見る」だけの少女を描く。手法はあきらかにネオレアリズモだ。『ウィンターズ・ボーン』のような、アクションの映画では全くない。

それにしてもこの映画はあれに似ている、これに似ている、と考えるのは楽しい。映画にはどうしても「系譜」のようなものがある。

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