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2011年10月20日 (木)

VPFという幽霊が跋扈する

最近、映画業界でVPF(バーチャル・プリント・フィー)という言葉を何度か耳にした。直訳すると仮想プリント代。デジタル化でプリント現像費がかからなくなったら、これを払うことになったとある配給会社から聞いた。えっ、誰がそんな費用を決めたのか、誰に払うのかと驚いたが、これにはカラクリがある。

映画がフィルムではなくデジタル上映が増えて、映画館は従来の35ミリ映写機ではなく専用の映写機が必要になった。これは最新型で1500万円もする。映画館にとっては相当の額だ。米国では、これを設置してあげる代わりに、一定期間配給会社から(一部映画館から)1本ごとに料金をもらう会社ができて、日本でも席巻しつつあるという。

現在日本には、ソニー系、ブロードメディアスタジオなど3社がこのシステムを仕切っている。一種のリース会社だ。確かに1本20万円も30万円もするプリント代が浮くのは配給会社だから、映画館にとってはいいシステムだと思った。

ところが先日会った地方のミニシアターの経営者の話だと、これは大変なことだという。1館の映画につき、配給会社が払うVPFは7万円から10万円。これまでは焼くのに30万するプリントも使い回せばよかったが、1館あたりに払うとなると、100席程度の映画館では元が取れず、配給会社が映画を出せなくなるという。

VPF導入に映画館側も2、3割の負担がある。それを払っても配給会社からは映画が来ない。結果として地方の独立系の映画館は潰れることになる。するとマイナーな映画を配給してきた会社も、かける映画館がなくなって潰れるだろう。

もう一つ大変なことを聞いた。VPFのシステムを利用する映画館は、35ミリプリントを撤去することが条件という。すると35ミリのプリントは上映できなくなる。35ミリプリントをデジタル上映用に変換するのは約200万円かかるから、これまでの古今東西の作品の大半は、映画館では見られなくなる。これは大変なことだ。

VPFというまさにバーチャルな幽霊が跋扈して、メジャーなハリウッド映画や邦画大手及びテレビ局による日本映画以外が、この国からほぼなくなってしまう日が数年後に来るかもしれない。

今日の文章はまさに聞きかじりで書いているので、もし間違っていたら、むしろ幸いだが。

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