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2011年11月 7日 (月)

過去と現在を往復する映画2本

現在上映中の映画で、過去と現在を往復する2本について語りたい。アメリカ映画『ミッション:8ミニッツ』とフランス映画『マーガレットと素敵な何か』で、個人的にはどちらもいま一つだったが、現代的テーマを扱っている点でも興味深い。

『ミッション:8ミニッツ』は、爆破テロにあう犠牲者の意識に入り込んで、犯人捜しをするというSFアクションだ。こう書くといかにも最近のハリウッドのアクションを思い浮かべるが、映画は妙に知的な構成になっている。主人公の米軍大尉を演じるジェイク・ギレンホールは、テロ直前8分前の列車に送られるが、最初は任務に失敗する。すると軍のカプセルに戻され、やり直しをさせられる。

結局6回も列車に戻り、そのたびごとに真実に近づくという展開が、私にはどうも間が抜けて見えてしまい、いま一つ乗れなかった。おもしろいのは、これがアメリカのテロ対策という点だ。現代のテロを防ぐには、無意識にまで入り込む必要があるといわんばかりだ。

もう一つは主人公がアフガン帰りの大尉であることだ。「大量破壊兵器」があると言われて探した挙句、帰国すると列車の中の爆発物を探す作業に従事させられるという皮肉。アメリカ映画は今後しばらくアフガンやイラクの亡霊に悩まされるのだろう。
この映画を作ったダンカン・ジョーンズ監督は前作の『月に囚われた男』も見たが、私には前作の方がずっとおもしろかった。

『マーガレットと素敵な何か』は、ソフィー・マルソー演じる主人公のキャリアウーマンが、自分の少女時代から届く手紙を読んで、今の自分を考え直すという物語。実は3か月ほど前に試写で見たので少し記憶が怪しいが、封印したはずのつらい過去と向き合うことで、キャリアを捨てて社会貢献の道を歩むというまじめなストーリーに、ちょっとひるんでしまった。全体はカリカチュアのような軽いタッチなので、それを楽しめればいいのだが。

おもしろいのは、主人公が務める会社が海外に原発を売っているという点だ。アメリカや中国に原発を売りながら、主人公は良心の呵責を感じる。確か「こんなものを売ると、評判は5千年先まで落ちますよ」というセルフもあったと思う。フランスのエリートは罪の意識を持ちながら原発の会社に勤めている、というのが一つのパターンとしてあることがよくわかる。原発の事故が何千年も影響を及ぼすということも。もちろん今度の大震災前に作られた映画だけに、興味深い。

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