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2011年11月 6日 (日)

長谷川等伯の水墨画に言葉をなくす

先日新聞の美術欄を読んでいたら、出光美術館の長谷川等伯展を紹介していたので、条件反射的に見に行きたくなった。特にこの美術館が所蔵する彼の水墨画はいいものが数点あるので、見たかった。銀座に出たついでに足を運ぶ。

入口から少し入ったところに《竹虎図屏風》があった。竹を睨む右隻の虎の背には大胆な太い線が何本も引かれて、細部は省略されている。左隻の虎は頭を掻くユーモラスな姿だが、省略が多くてすぐには何をしているのかわからない。竹もまた上下が省かれていて、霧の中に浮かぶようだ。そしてそこに差す薄い光。全体に思い切った、豪胆とでも言いたくなる感じが溢れている。

これと対をなすような《竹鶴図屏風》は、もっと無に近づいている。右の鶴は小さすぎて何をしているのかさえわからない。一見何もないような空間の奥に、竹や草がうっすらと見えてくる。そこに差す薄い光と漂う冷たい空気。この荒涼とした風景の強さといったら。

《松に鴉・柳に白鷺図屏風》の右隻の鴉は黒々としているが、柳はほとんど背景に埋もれそうだ。左隻の白鷺もまた、透明な光の中に包まれて姿を消してゆく。もう言葉がなくなる。

展覧会名は「長谷川等伯と狩野派」で、後半には、金を多用した華やかな波濤図や藤棚図が、長谷川派と狩野派の両方のものがあって興味深かったが、頭は水墨画から切り替えられない。東京国立博物館の傑作《松林図屏風》を見に行きたくなった。

出口のところで、千葉市美術館の酒井抱一展のポスターを見た。行きたいが、千葉は遠いし、この美術館は千葉駅からずいぶん歩くので躊躇している。こちらは11月13日までで、出光の「長谷川等伯と狩野派」展は12月18日まで。

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