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2011年11月 1日 (火)

映画『サウダージ』の地方感覚

評判がいいので気になって、映画『サウダージ』を見に行った。富田克也という監督の名前は聞いたことがあったが、見るのは初めてだ。冒頭の顔もよく見えない二人の青年の会話に始まって、たいした物語はないのに、最後まで画面に引き付けられた。

映像は特に審美的なものではない。いくつものシーンが説明もなく始まり、唐突に終わる。あちこちに自然なユーモアが溢れていて、妙に魅力的だ。1時間くらいたったころから、甲府に住む日本人とブラジルやタイの移民たちの物語が、だんだん浮かび上がってくる。

最後まで見ていると、移民に満ちた街が、日本の、あるいは世界の本質的な危機を見せていることに気がつき、唖然とする。散漫なドキュメンタリーのように見せて、すべてが考えつくされていたのだと思う。

有名な俳優はおらず、見ていると一体プロなのか素人なのかもわからない。それくらい、出てくる全員が北関東の荒廃してゆく街、甲府の雰囲気と同化しており、独特の匂いを出し続ける。パンフレットを見ると、女性の数人はほかの映画にも出ているが、大半がこの監督の映画にしか出ていないか(多くは監督の幼馴染)、あるいは本当のド素人だ。私は土方の親方などは絶対にプロだと思ったのだが。

自分がよく知っている街で、よく知っている友人たちを集めて、その街の現在を撮る。この映画には自主映画の最良の部分が現れている。そのうえで、確実に「日本の現在」を見せている。

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