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2011年12月25日 (日)

17世紀の室内空間

始まったばかりの「フェルメールからのラブレター展」を渋谷の東急文化村で見た。展覧会名は、ちょっとどうかと思うが、フェルメールが3点も出ている。英語題はCommunication: Visualizing the Human Connection in the Age of Vermeer。

つまり「フェルメールの時代の絵画に見る人間関係」ということだと思うが、展覧会はまさにこのテーマに沿って、17世紀オランダの室内空間とそこに繰り広げられる人間ドラマを徹底的に見せている。フェルメールの3点はすべて手紙を書いたり読んだりしているものだが(そこからラブレターという発想が出たのだろう)、その以外の絵も当時の人々がどんな部屋で何をしていたのかを克明に見せていて、興味深い。

フェルメールの絵といえば、左の窓から光が差し込む室内に女性がいる絵が多いが、今回の3点はそれぞれ魅力的だ。《手紙を書く女と召使い》は、一心不乱に手紙を書く女と口を半開きにして投げやりに外を見る女の対比がいい。《手紙を読む青衣の女》は、両手でしっかり手紙を持って読む、ちょっと太った女のけなげさが出ている。《手紙を書く女》は、手紙を書く手を止めて正面を見る女の表情が謎めいている。手紙のそばに置いてある真珠の輝きがまぶしい。

そのほかの絵は、楽器を弾いていたり、宴会で騒いでいたり、求愛をしていたり、分厚い本を読んでいたり。魚や肉や野菜で一杯の裕福な家庭も描かれている。《眠る兵士とワインを飲む女》なんて、テーブルに顔をつけてぐっすりと眠る男のそばで、冷やかにワインを飲む可愛らしい女が描かれている。19世紀オランダ社会の豊かさ、成熟度が垣間見える。

画家の力量では、フェルメール以外でピーテル・デ・ホーホの室内画が際立っている。《室内の女と子供》は、ピッチャーを子供に渡す女を描いたものだが、背景の左右の開かれた扉(とその奥の光景)や手前の赤と黒のタイルなど、構成の妙に見入ってしまう。

この展覧会は既に京都と仙台で開催されていて、東京展は3月14日まで。ところでこれは文化村の改装オープン記念企画のはずだが、どこが新しくなったのか、気がつかなかった。

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