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2012年1月20日 (金)

ドイツ映画祭からドイツ映画特集へ

最近は不景気のせいか、「〇〇映画祭」が地味になった気がする。「ドイツ映画祭」はかつてはドイツ文化センターでやっていたが、2005年から有楽町朝日ホールで大々的にやるようになり(私も関わった)、それから数年後に新宿バルト9に移り、去年は中止になったが、今年は「ドイツ映画特集」としてドイツ文化センターに戻ってきた。

作品はわずか4本で、これでは「映画祭」と銘打ちにくかったのかもしれない。映画祭というからには、10本くらいないと感じが出ない。もちろんパンフレットも作られていない。

初日の昨日、アンドレアス・ドレーゼン監督の『どうする、人生真っただ中』を見た。ドレーゼンは東ドイツ出身で、かつてドイツ映画祭で上映された『階段の途中で』や『ヴィレンブロック』などで、その冷徹なリアリズムで見る者の心を凍らせた監督だ。資本主義や金によって、普通の人々が変貌をしてゆくさまを悲喜劇として見せる名手だった。

ところが今度の新作は、ストレートな悲劇。冒頭でいきなり脳のレントゲン写真が写り、医者から悪性の脳腫瘍と言い渡される30代の男とその妻の驚愕の様子が描かれる。それから後は残された数か月の命を2人の子どもと生きる日々が淡々と映し出される。症状はどんどん悪化し、精神にも異常が出てくる。見守る妻や子供との葛藤、見舞いに来る両親や友人。

一見ドキュメンタリーかと思うくらい演出が感じられないが、よく見ると一つ一つのセリフやカットは計算されつくされており、心に突き刺さる。個人的には、かつての恋人が訪ねて来て「メキシコ旅行は生涯で一番楽しかったわ」と言う時に、主人公はもはや何も言葉を発することができず、涙が一筋流れるシーンがジンと来た。

映画が終わると、みんな言葉をなくした感じだった。それぞれ思い当たることがあるからだろう。こんな暗い映画の劇場公開は今どき難しいだろうから、映画祭ならではの上映だ。

ドイツ映画祭だけでなく、フランス映画祭もイタリア映画祭も昔に比べると上映本数は減ってきている。フランスは中国やインドでも映画祭を始めたので、日本への予算が減ったという話は関係者から聞いたことがある。劇場公開のみならず、映画祭レベルでも日本で見られる外国映画は確実に減っている。

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