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2012年1月25日 (水)

いいような悪いような『キツツキと雨』

2月11日公開の『キツツキと雨』を見た。沖田修一監督の『南極料理人』に次ぐ作品で、昨秋の東京国際映画祭のコンペに出て好評だった。おもしろかったが、いいような悪いような微妙な感じも残った。

『南極料理人』は、とにかく見ていて楽しかった。南極基地に閉じ込められた隊員たちをコミカルに描く集団劇で、会話のテンポが抜群だった。しかしおもしろさの源は原作のオリジナリティにあるような気もした。

今回は監督も共同で加わったオリジナル脚本だ。話は、25歳の監督が山村で映画を撮り、村の人々、とりわけ60歳の木こりと仲良くなるというもの。そのうえ撮られている映画は、近未来の日本を舞台にしたゾンビ映画だ。いわゆる自主映画のような内容で、最初はどうなるのかと心配だったが、だんだんドラマが生まれてきて、見ていて心地よくなる。

会話のテンポの取り方は前回以上に研ぎ澄まされているし、映像や音もずっと繊細だ。役所広司演じる木こりは変に田舎っぽくなくていいし、監督役の小栗旬も、悩みながら映画を撮る様子が板についている。嶋田久作演じるカメラマンなど、映画スタッフを演じる俳優たちも何とも味がある。村人たちが楽しそうにゾンビを演じるシーンは本当におかしい。すべてにおいて好感が持てるのだが、どうしても「で、何なの」という気持ちが残った。

結局のところ何を訴えたいの、と思ってしまったのは、私のような中年男のボヤキかもしれない。今年35歳の沖田監督は、今後どんな映画を撮ってゆくのだろうか。器用な監督だけに、あまりウエルメイドな方向に行かないで欲しいと思う。

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試写会で観ました。 【予告orチラシの印象】都会に疲れた小栗君が、田舎でダラダラ [続きを読む]

受信: 2012年2月 8日 (水) 23時04分

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