大学教師の2月
昔、著名な東大教授から「2月は入試なんかで大学の教師にとって最悪の月なんですよ」と言われたことがあった。当時はホントかなあと思っていたが、私も大学に勤めて「2月」は3回目なので、だんだんその意味がわかってきた。
まず入試の前に、1年から4年までの試験や採点がある。100枚を超す答案を採点し、出欠を加味して点数を付けていると、朦朧としてくる。それを数回やると、自分が機械になったような感じだ。
次に卒論を読む。原稿用紙100枚を超すものを1日に10本読むと、消耗する。できのいいものはいいが、日本語が怪しいものや理解不能の論理を展開する文章に出くわすと、ひどく時間が取られる。一番困るのは、あちこちに才能を感じるが、言いたいことがはっきりしない文章で、評価に迷う。
そして学生を前にした口頭審査。ほめるのは楽しいが、難しいのはできの悪い時。「学生生活の最後にこんなひどいことを言われた」とならないように、できるだけ建設的な意見をとは思うが…。1人に10人審査すると、もう誰とも話したくない。
そして入試。これは完全に肉体労働だ。それも時々歩く以外は体を動かさない不思議な労働。特に昨年、携帯電話を使ったカンニングがあったので、今年は厳しさが漂っている。私の大学では面接まである。これも意外と難しい。それが終わると採点。特に小論文の採点は困難を極める。全然ダメなものとできのいいのは簡単だが、大半はその中間だ。
授業をして、研究分野の論文を準備し、時々外部の依頼原稿を書くという普段の生活が何といいことか。授業は、特に私のように中年で急に教師を始めた者には準備が大変だが、それはそれで楽しい。どうやって学生にわからせるか、と工夫は尽きない。
それに比べて2月の日々は、何だか正体不明の不思議な怪物と戦っている感じなのだ。それも勝ちも負けもない戦い。今日は珍しくグチのブログでした。
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