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2012年2月19日 (日)

何とも怪しいフェルメール展

銀座で1時間ほど時間が空いたので、前から気になっていた「フェルメール・センター銀座」で「フェルメール 光の王国」展を見た。新聞や雑誌で福岡伸一氏監修として何度も取り上げられていた。フェルメールの全37点の精巧な複製を展示しているらしい。

行ってみると実に怪しげなシロモノだった。まず松坂屋裏の会場がわかりにくい。雑居ビルに小さな垂れ幕が一つあるが、1階は流行風の「ロハス・カフェ」。ビルを回り込んでようやく入口があった。小さなエレベーター2基のうち1つは専用で、エレベーター嬢がいて5階に着く。そこからなぜか狭く暗い廊下を4階に歩かされる。何だか高額商品でも売りつける詐欺のような雰囲気が一杯だ。

4F受付には美女が2人いてチケットを売っていた。何だ、有料かと驚いたが、ちょっと怖いもの見たさもあって千円を払った。会場に入ってすぐにがっかりした。天井は低く、広いマンションのような空間にびっしりと複製が並んでいる。チケットによれば、これは「リ・クリエイト」で、「フェルメール・センター・デルフトから提供を受けた画像素材を最新技術により、350年前の色彩を求めて美しく再制作。この作業をre-createという」。

会場の安っぽい雰囲気もあって、「リ・クリエイト」がいかにもニセモノっぽい。「最新技術」というが、印刷の網目さえ見えるようで、原寸の画集を切り取ったんじゃないかとさえ思えた。現在渋谷の東急文化村で展示している3点のフェルメールを見た時の戦慄とは全く異なる、ぺらっとした平板な印象だ。そのうえ会場にはいかにもの音楽まで流れている。

5分余りで会場をぐるりと回るともう出たくなった。すると今度は3Fに歩かされる。そこにはパネルの解説や福岡氏のビデオが続き、大きなグッズ売り場にたどり着く。絵葉書から十万円を超す複製画、ドレスまで売っているのを見て、歩いて帰ろうとすると専用エレベーターに乗るよう指示された。そこからようやく1Fに出て解放された。

近くの喫茶店でチケットをよく見ると、主催は「フェルメール展実行委員会」(木楽舎、廣済堂、読売新聞社、電通)。会場のビルは銀座ソトコトロハス館。これでなぞが解けた。木楽舎は元マガジンハウスのやり手編集者が作った、「ソトコト」を出す出版社。そこが自社ビルで「ロハスの次はフェルメール」とばかりに、読売や電通を巻き込んでやった商売であった。やたらに雑誌で見たのも電通の仕業であろう。

これは相当に恥ずかしい。7月22日までやっているというが、誰も批判しないのだろうか。福岡氏以外にも有名人が揃っている。(例のいかにも)音楽:久石穣、美術監修:伊東順二、音声ガイド:宮沢りえ&小林薫。これまた電通的な取り合わせ。こんなヤラセは前世紀のものだと思っていた。

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コメント

誰ひとりあの変な展示に文句言わんのか?と呆れていたら
こちらに辿りつきました。
フェルメール食いもんにするのもいいかげんしろって感じ。
当時の色彩を表現してる?誰も知らないと思ってなめんじゃないよ!
すみません・・・別に文句言いに来たわけじゃありません。
それにしても大衆を馬鹿にしすぎてると思いました。
一方、褒めたたえ、きっちりレポートしてる人達がいることに
日本はこれでいいのか?とガッカリさせられますが・・・

投稿: marienbird | 2012年3月21日 (水) 00時51分

全部偽物なのに、なぜこんな人気もってるか、わけわからへん!

投稿: 高橋 | 2012年4月12日 (木) 11時08分

デルフトのセンターにいったことあります。
そこも単に原寸大写真が飾ってあるコーナーありました。
きっと銀座も同じような雰囲気なんでしょう。
行ってみようかと思っていたが、これ読んで行く気失せたなぁ・・・
どうしよう?

投稿: tm | 2012年5月 9日 (水) 16時46分

中には本物のフェルメール見たと思い込んでる人達も居て・・・グッズを大事そうに抱えていたり(複雑)
理解度や興味度が異なる事前提での広報的な展示だと・・・あえて思う事にします。

投稿: | 2012年6月23日 (土) 15時08分

この秋まで開催されていたオルセー展、展覧会自体は良かったのに、ショップで見たリマスターアートとかいう複製が、あのオルセー美術館公式認定という割には「これで?」と思ってネットサーフィンしていたらここに辿りつきました。フェルメールでも、その安っぽさにがっかりしてましたが、同じところが作っていたとは。同じように思った方がいてよかったです、深く頷きました。まったく同意見です。

投稿: | 2014年12月13日 (土) 18時05分

「フェルメール光の王国展 詐欺」で検索してここに着ました

2015年12月より北海道で開催して、すっかり騙されました
主催 テレビ北海道/道新文化事業社/ブレイン/フェルメール・センター銀座 実行委員会
後 援 オランダ王国大使館/札幌市/札幌市教育委員会
特別協賛 ジョブキタ/全日空/再春館製薬所 

会場入ってすぐの説明看板「re-create」の文字 果たして何人がこの意味を理解したか
そして、決して「複製」の文字を一切使わない姑息さに呆れます
大して精細でもない複製品と安っぽい額縁
色を再現したという割には、会場は美術館照明
美術雑誌を買って読めば事足りる内容にガッカリ

よくまあ、恥ずかしげもなく大手の会社が主催、後援するものかと思いましたね
自信があるなら、追跡調査して何割が複製と知っていたか確認してほしいものです

「騙される方が悪い」 本当にそんな世の中で良いのでしょうか
今後も全国巡業が続くのでしょうね

最後のコメント「(例のいかにも)音楽:久石穣・・・・」には、私自身が恥ずかしくなりました。

最後に一言、東京都美術館のフランドル絵画展で見たホンモノのフェルメールは素人の私でも素晴らしいと感じました

投稿: | 2016年1月 4日 (月) 17時29分

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